2018年7月4日水曜日

QRコードは簡単に作れるという話



QRコードって、日常でよく見かけますよね。正方形の、3隅に目印のついたバーコードです。

実はこれ、誰でも簡単に作ることができるのです。このことは案外知られていないようなので、ここで紹介しておきます。

QRコードとは

そもそもQRコードとは何なのか。QRコードを発明したのは、実は日本の会社「デンソー」です。

デンソーが運営しているサイト「QRコードドットコム」によると、デンソーウェーブ(当時は現・株式会社デンソーの一事業部)がQRコードを発表したのは1994年のこと。当初は自動車部品業界などに採用され(デンソーはトヨタグループですからね)、2000年代、カメラつき携帯電話の普及とともに、QRコードも一般に広がり始めました。

デンソーが特許を保有していますが、オープンにしている規格のため、誰もがこの技術を利用できます。

QRコードの作り方

さて、それでは肝心のQRコードの作り方について。

まず、Googleなどの検索エンジンで「QRコード 作成」と検索してください。上位にいくつかQRコード作成のウェブサイトが表示されます。そのうちどれを使っても問題ありません。

QRコードの開発元デンソーもQRコード作成サイトを公開しているので、どれがいいか分からなければこちらを使いましょう:QRコード作成|QRの解析 無料【公式】

使い方は簡単です。例えば、QRコードを読み込んでどこかウェブサイトにアクセスさせたい場合、そのURLをボックスに入力します。そして「QRコード作成」ボタンを押します。


するとダウンロードボタンがあらわれるので、これを押します。QRコードが画像ファイルとしてダウンロードされます。



あとはこれを、ファイルに貼り付けたりして、使えばいいのです。

まとめ

QRコードの作成、簡単ですよね。でも意外と一般には知られてないみたいで、QRコードをさっと作れると「すごーい!」と言われたりします。全然、すごくないんですけどね。

QRコードは単にURLへ誘導する以外にも、いろいろな使い方ができます。

例えば、チラシAとチラシBにそれぞれ違うURLのQRコードを貼ってアクセス統計を取ると、AとBどちらの方が効果があったのか(たくさんアクセスを集められたか)判定することができます。

ぜひ、普段のお仕事に活用してください。

2018年5月14日月曜日

ウズベキスタンではなぜシボレー車が多いのか

中央アジアの国・ウズベキスタンへ入国して驚きを感じることの1つは、「走っている自動車のブランドが全然違う」ことではないでしょうか。日本とはもちろん、カザフスタンなど国境を接する隣国とも、走行している車の印象が全然違うのです。

その理由が、シボレー車の圧倒的シェアです。あくまで体感ですが、走っている車のうち、8割以上はシボレーブランドの自動車と思われます。トヨタやホンダなんてほとんど見かけません(隣国カザフスタンはトヨタだらけなのに)。しかも白い車体ばかりです。

首都タシケントの中心部。写っている車はすべてシボレー車


なぜシボレーはウズベキスタンで人気なのでしょうか。

気になったので、少し調べてみました。

シボレーとウズベキスタンの関係

シボレーは、アメリカの自動車メーカーGM(ゼネラル・モーターズ)が有するブランドです。日本ではあまり見かけませんが、全世界で展開されているブランドです。

GMがウズベキスタンへ進出したのは1996年。GM傘下の韓国の自動車メーカーGM大宇(Daewoo・デウ 、現在の韓国GM)が、ウズベキスタンの国策自動車会社(UZ Auto)との共同出資でUz-Daewoo-Autoという自動車ブランドを設立したことがきっかけです(公式サイトによると、登記自体は1993年、実際の稼働は1996年開始)。

半国有の自動車メーカーということで、輸入車よりも有利な条件で販売されていたと想像できます。ウズベキスタンはソ連からの独立後、漸進的に社会主義経済からの移行をしていたのです。

その後、GM大宇ブランドの廃止に伴い、2008年にUz-DaewooもウズベキスタンGMへと変わりました。いまでもDaewooのロゴ入りの車を見かけますが、多くはシボレーブランドのロゴに切り替わっています。

参考:http://gmuzbekistan.uz/companies/istoriya_razvitiya
https://en.wikipedia.org/wiki/GM_Uzbekistan

シボレー・ウズベキスタンのラインナップ

世界的ブランドのシボレーとはいえ、もともとがDaewooブランドだったこともあり、ラインナップもDaewooに準じています。現在のシボレー・ウズベキスタンが扱う車種は以下の通り。

Uzbekistan GM公式サイトより


基本カラーが白のためか、ほとんどが白い車体です。ときどき緑の車体を見ると「おっ」と思います。コンパクトからSUVまで、ひととおりそろっている感じです。

中でも面白いのが、Damas(ダマス)です。これは、かつてGMと提携関係にあったスズキのエブリィを基にした車種だそうで、その後DaewooおよびウズベキスタンGMで独自の進化を遂げました。

レトロというか、愛嬌がある顔立ちで、個人的には好きです。街中でも普通の乗用車や配達車として、よく見かけます。

ウズベキスタンのダマスについてレポートしている日本語記事(カーマニアでも走ってるクルマの名前が滅多にわからない! ウズベキスタンのクルマ事情 | 日刊SPA!)によると、現地のディーラーでも人気のようです。

さらに、GMウズベキスタンはRavonという新たなブランドを2015年に立ち上げました。これは特にCIS地域のローカルブランドだそうで、ロシアやウクライナ、カザフスタンなどに展開しています(UzDaily.com: New automobile brand Ravon presented in Moscow)。

まとめ

ウズベキスタンでシボレー車が多い理由についてまとめてみました。

前述のように、ウズベキスタンGMはRavonという独自ブランドで近隣地域に展開しようとしています。GM資本は入っていますが、独自ブランドで積極的に自動車生産・販売を行っているのは、中央アジアでもウズベキスタンだけでしょう。

なお、ウズベキスタンはISUZU のトラックやバスの生産も行っています。自動車生産は非常に盛んなのです。

ウズベキスタンは生産人口も多く、工場労働者の確保も容易でしょう。2016年に大統領が変わり、近隣諸国との関係改善を進めているところです。今後、ウズベキスタンの自動車産業がこの国の発展の鍵となる可能性が、大いにあります。

ウズベキスタンの今後の成長に関する考察は、別記事「ウズベキスタンは「次なるベトナム」となるか」をご覧ください。


2018年4月29日日曜日

PowerAppsで作るアプリ例 (1):学生情報検索アプリ


Microsoftは、モバイルアプリをプログラミング不要で数分で作れてしまうPowerAppsというサービスを提供しています。
では、このPowerAppsでどんなアプリが作れるのか、実際に作ってみた例を紹介します。

この記事では手順を1つ1つ詳細までは解説しません。あくまでアプリの作例とその大まかな構造を紹介することで「こんな感じで、こんな簡単に作れる」ということを分かっていただければと思います。

概要

今回作ったのは、学生情報検索アプリです。私の職場は大学で、学生の交換留学プロジェクト(大学全体の交換留学ではなく、特別プログラム)を担当しているので、海外へ送り出した学生と、日本へ留学に来た学生をそれぞれ管理するアプリが欲しいと思い、作ってみました。

表側の構造

アプリの見える部分(表側)構造は、次のようになっています。
  • トップページ
  • 派遣学生管理ページ
  • 派遣学生新規追加フォーム
  • 受入学生管理ページ
  • 受入学生新規追加フォーム
それぞれ、実際の画面と機能を見ていきましょう(表示されている情報はダミーデータです)。

トップページ



派遣学生・受入学生管理ページへそれぞれジャンプするボタンがあるだけです。

派遣学生管理ページ


名前、派遣先国、連絡先などで検索できます。情報は右側に表示され、保存・削除ができます。 また、右上「+」のボタンから新規追加できます。

派遣学生新規追加フォーム


新たな学生の情報を登録できます。

受入学生管理ページ


名前、出身国、連絡先などで検索できます。情報は右側に表示され、保存・削除ができます。 また、右上「+」のボタンから新規追加できます。

受入学生新規追加フォーム


新たな学生の情報を登録できます。

裏側の構造

表側(見える部分)の構造を紹介しましたが、では、裏側はどのような仕組みになっているのでしょうか。

PowerApps編集ソフト(ブラウザ版)で、裏側の構造を確認してみましょう。



表側のそれぞれの画面に対応した画面が作成されています(Welcome, Inbound, Outbound, InboundEdit, OutboundEdit)。作りたい画面=構造です。わかりやすいですね。初期状態では1枚しか画面がないので、作りたい画面の分だけ、新たに作成する必要があります。

派遣学生管理ページを例にして、その中がどういう構造になっているか紹介します。
左側の「画面」の「Outboundlist」を展開すると、その画面に含まれる様々なパーツのリストが表示されます。


このアプリで重要なのは、 1.学生情報を一覧表示する左部分(Outboundlist)と、2.その内容を表示し編集ができる右部分(Form2_2)です。この2つはそれぞれデータベースに接続され、データの読み書きがなされる部分です。

1.Outboundlistは、「ギャラリー」というパーツです。これは「挿入」メニューから追加できる要素で、あらかじめ何種類かデータ表示方法のテンプレートがあり、その1つです。2.フォームも「挿入」メニューから追加できます。

他は、検索窓、他のページへのジャンプボタン、保存ボタン、削除ボタンがあり、それぞれ関数を付け加えると機能を果たすようになります。

データベース

学生の情報が出てくるということは、データベースがあるはずです。このアプリの場合は何を使っているかというと、Office365のOneDriveです。

OneDriveに学生の情報を蓄積するExcelファイルを保存し、そことPowerAppsを繋げているのです。

ファイルの保存先はOneDriveでなくとも、DropboxなどPowerAppsが連携可能なストレージサービスやデータベースであれば接続が可能です。

まとめ

PowerAppsを使ったアプリの例とその構造を紹介しました。

このアプリを作る難易度ですが、機能自体はシンプルなので「Excelの関数が使える(苦手じゃない)人であれば作れる」程度だと思います。ただ、はじめてだと手間取る部分が多いはずです。慣れれば2−3時間くらいで作れるでしょうね。

例として「学生情報の管理」アプリとしましたが、これとほぼ同じ構造で、顧客管理や在庫管理アプリなどが作れるでしょう。

今後もPowerAppsを使ったアプリ実例は、不定期に紹介していきたいと思います。

PowerAppsの入門書もぼちぼち登場しています。


※個人情報をExcelに入れてクラウドストレージ上に置くのは、職場によっては情報管理規定に反する可能性があります。私の職場もそのおそれがあり、アプリは実運用していません。

2018年4月11日水曜日

日本でキルギス語を勉強するにはどうしたらよいか

この記事は以下のURLに移転しました。

2018年4月5日木曜日

【2018年版】これから大学で働く人に読んでもらいたいIT入門記事


この春から、全国の大学で職員、教員、研究員、コーディネーターなどとして働き始める方はたくさんいると思います。

大学の特徴として、とにかくデスクワーク、ペーパーワークが多いという点があります。Excel、Word、パワポのオンパレードです。なので、何にもまして、Officeソフトを中心にITを活用して、業務を効率的に進める事が重要になります。特に最近は、国公立大学での人員削減や採用抑制が目指されているので、効率化の必要性は高まっています。

正規職員として採用された 方は新人研修などがあるかもしれませんが、教員や研究員、非正規職員にはほとんどないでしょう。分野や研究室にもよりますが、これまで研究一筋で事務仕事など経験がないという方には試練の連続だと思います。

このブログでは、IT系企業を経て大学で働いている筆者が、ITを活用して業務を効率化するための記事をいろいろと書いています。

その中から、まさにこれから大学で働く新任者に役立ちそうな記事を選んで紹介します。

全般・心構え

まずは心構えからです。パソコン仕事が苦手な方は、まず読むことをおすすめします。パソコンを使いこなすのは難しい・・・と思い込まず、「楽をしよう」と認識することが大切だと思います。
わざわざ右クリックしたり、メニューを選択しなくても済む「ショートカットキー」という方法。使ったことのない人は、基本的なものから試しましょう。

Officeソフト

名前のリストとテンプレートをもとに、修了証を簡単に作る方法です。ほかにも宛名印刷、通知文書などにも応用できます。
これもWordの差込印刷機能に似ています。あるリストをもとに、別のシートで何かを一括入力したい時に便利です。

Office365

普通のOfficeソフトではなく、オンラインで使えるMicrosoftのサービス「Office365」を組織全体で契約している、というところも多いと思います。

Office365はWordやExcelをブラウザーで使えるほか、データをクラウドに保存できたり、アンケートフォームを作ったり、業務アプリを作ったり、といった機能があります。これらをうまく活用すれば、仕事をさくさく進めることができます。

まずはフォーム作成機能のFormsについて。フォーム作成はいまや、必須の事務スキルと思います。
Office365には、Skypeの発展版のような、チャットを使ったコミュニケーションツールのTeamsがあります。チームでの作業を迅速にできます。
ちょっと発展的ですが、PowerAppsというソフトを使えば、プログラミング不要で、オリジナルの業務用アプリを短時間で作ることができます。

メール

よくある「ファイルが重すぎてメール添付で送れない!」という場合の対処法。活用する機会があるはずです。これは特に、学生にも知ってほしいです。

ウェブサービス

オフィスワークでよくある、「画像をPDFにしたい!」「PDFを画像にしたい!」「PDFを圧縮したい!」などといった事が、ウェブブラウザだけで簡単にできちゃう、という話。
クラウドストレージのDropboxに、隠れた便利なサービスがあります。多数のひとから、ファイルをアップロードしてもらえるサービスです。レポートや写真の回収に利用できます。
ウェブサービスをたくさん使っていると、大量のパスワードを覚えなければなりません。その煩わしさから解放してくれる便利なサービスがあるのですが、果たして・・・。

小技

使う機会があるかわかりませんが、一応。

発展

本気で業務改善に取り組みたい場合は、次の記事が参考になるかもしれません。意欲のある方はどうぞ。

最後に

紹介した記事は、当ブログに掲載した記事だけなので、ITを使いこなすための心構えで書いたように、Googleで情報を調べたり、体系的に学ぶなどしてスキル向上を目指しましょう。

ここ最近、日本の大学教育や研究環境の危機が叫ばれています。
限られた資源を、研究力・教育力の向上に注ぐ為にも、大学に関わる個々人のスキルアップは欠かせないと考えています。私がこのブログで効率化の記事を色々と書いている理由もこれです。

やたらめったらITを導入すればいいわけではありませんが、こうした知識が少しでも課題解決に役立つことを願います。

最後に、愚痴の記事を一つ。
JASSOが指定するExcelフォーマットが非常に煩雑という件。この記事を書いたおかげか知りませんが、年々、少しずつ簡略化と改善が見られます。

参考文献:

2018年3月28日水曜日

【2018年版】留学生が日本で携帯電話を使う一番いい方法は?

はじめに

文部科学省の方針もあり、日本へ来る留学生の数は増える一方です。筆者は現在、大学で留学生を受け入れる仕事もしていますが、その時によく問題になるのが、留学生の「携帯電話の契約」です。

なにが問題か

では、留学生が日本の携帯電話を使おうとする時に、何が問題となるのでしょうか。筆者の経験上、留学生受入の現場では、おおよそ次のようなことが発生してしまいます。
  1. 留学生が日本へ到着。携帯電話を使えるようにしたいので、とりあえず街の携帯電話ショップ(docomo、au、softbankとか)へ行く。
  2. 田舎のショップだと外国語を話せる店員がいないのでそもそも話が通じない。
  3. 幸い話が通じても、月額料金の高さと契約プランの複雑さ、違約金の高額さに衝撃を受ける。
  4. 結果、携帯電話の契約をあきらめて、自国から持ってきたスマホをWi-Fiのみで運用してなんとか過ごす。
  5. しかし大学から急ぎで何か連絡したいときに電話番号がなくて困る。 すごく困る。 本人も不便。
この流れ、留学生受入担当者にとっては、「あるある〜」といった感じではないでしょうか。

docomo、au、softbankなどの大手携帯キャリアで契約すると、スマホのデータ通信プランだと6,000円以上するのが普通です。「2年契約」がほとんどのため、半年や1年で帰国する留学生は高額な違約金を払わなければいけません。 しかも割引は本体とセットでの契約でなければ効かず、本体代は分割であっても高額・・・。 とならば、お金のない留学生は携帯電話をあきらめても不思議ではありません。

解決策

解決策としては、次の2つが考えられます。
  1. 中古ガラケー+SIM契約
  2. 自分のスマホ+「格安SIM」契約
  3. Softbankのプリペイド携帯「Simply」を契約 ← 追加(2018年版)

1. 中古ガラケー+SIM契約の方法

1つめは、日本にいる間はガラケー(注:日本でしか使えないフィーチャーフォン)を使う方法です。ガラケーは、大手のショップで新品で買うと、非常に高いです。本体代金で3万円以上します。

そこで、中古携帯電話ショップへ行って、ガラケーを購入します。 中古ショップでは、ものにもよりますが、安いものだと900円くらいからあります。

そして中古ショップで購入した端末を、docomo、au、softbankなどのショップへ持って行き、電話回線を契約します。 日本の携帯電話はSIMロックがかかっているのが普通なので、必ずその携帯電話が対応したキャリアへ持って行ってください。

データ通信を使わなければ、月700円台〜使えるプランがあります(注:解約金が必要)。 ただし通話料金は30秒で20円と高いので、なるべく自分からは電話をかけずに、かかってきた時だけ使うようにしましょう。 何回か電話をかけても、だいたい月1,000円~1,500円くらいで収まるはずです。

初期費用(端末代、契約事務手数料)で5,000円、月々1,000円×12ヶ月=12,000円、解約金10,000円とすると、1年でかかる費用は30,000円くらいだと思われます。

これくらいなら、まあまあ払えるんじゃないでしょうか。 インターネットは無料Wi-Fiで何とかするから電話だけでいい、という場合はこの方法でいいでしょう。

参考に、大手3社のガラケー料金プランのリンクを載せます。
あと、大手3社に次ぐY!mobileもガラケープランを提供しています。

補足:プリペイド携帯

日本の携帯は大抵ポストペイド(月額制)ですが、例外的にプリペイド携帯も存在します。ただし、通話料が普通のプランより割高になります。
auとsoftbankがプリペイド携帯を提供していますが、softbankの方が充実しています。

Softbankのプリペイドを使う場合、「Simply」がおすすめです。この記事の3. Softbankのプリペイド携帯「Simply」を契約するを参照してください。

2. 自分のスマホ+「格安SIM」契約

自分のスマホを持っていて、電話だけでなくデータ通信(インターネット)を使いたい、またはデータ通信だけ使いたいという場合は、格安SIMを契約することをおすすめします。

日本はフリーWi-Fiの環境が劣悪です。大都市は多少、フリーWi-Fiスポットは増えましたが、LineやWhats Appなどチャットアプリをよく使う人は、やはりデータ通信のできるSIMが必要でしょう。

格安SIMとは?

格安SIMは、大手通信会社よりもかなり安価に携帯電話やデータ通信の契約ができるサービスのことです。「SIM」とは、携帯電話の通信に必要な小さなICチップのことで、格安SIM会社の多くは、この「SIMカード」単体で販売していることが多いです。

(画像)SIMカード

格安SIMは、大手通信会社の通信インフラを借り受けて、独自のサービスや料金プランを設定してそれぞれのお客さんに提供しています。格安SIMの会社は、ほとんど店舗を持たないかあってもほんの数店舗など、コストを極力抑えています。なので大手よりも格安で通信回線を提供できるのです。

どれくらい安いのか

どれくらい安いのか、比べてみましょう。
月額料金(通話+ネット) 契約期間 解約金 データ通信量 備考
大手通信会社 約6,900 円(機種代込み) 2年 9,500円 2GB ・電話かけ放題
・本体を分割払いで購入した場合は解約時に残債の支払いが必要
格安SIM A社 約1,900円 6ヶ月 8,000円 3GB ・これに電話料金がかかる(20円/30秒)
・電話機本体を用意する必要がある
※契約手数料は除く

上の表は、電話とネットをスマートフォンで利用する場合の料金比較です。前述のように、大手通信会社の契約プランが複雑怪奇なので、あくまで目安、例と思ってください。

大手通信会社と契約する場合は、機種を同時に購入するのが一般的です。上の月額料金は、Nexus5Xを同時購入した場合の料金です。SIMだけでも契約できるにはできますが、色々な割引プランが効かなくなります。ガラケーにすれば月額料金は安いのですが、最近のガラケーは本体料金がけっこう高いんですよ。

格安SIMでSIMだけを契約した場合、機種本体は自分で用意する必要がありますが、自国でスマートフォンを持っている場合もあるので、それが日本で使える機種の場合は、わざわざ新たに買う必要はありません。買う必要があっても、最近は1万円台でそれなりに使える機種が見つかります。

どうでしょうか。比べてみると、こんなに差があるんです。

なぜ安いのか

安さにはそれなりの理由があります。一般に、格安SIMのデメリットとしては次のようなことが言われています。
  1. 物理的な店舗の数が少ないので、申し込みやトラブルの相談が不便
  2. 設定を全部自分でやらなければいけない
  3. 通信速度が遅い
  4. 通話し放題プランがない
  5. クレジットカードがないと契約できない場合が多い
1 については、東京、大阪など大きな都市には、家電量販店(ヨドバシカメラやビッグカメラなど)に格安SIMの実店舗があるので、そういう所で契約すればよいでしょう。また、ネットでも契約できます。デジタルネイティブな若い留学生や日本の学生にとっては、ネットでの契約もお手の物でしょう。

2 については、これも若い留学生にとってはさほど苦労しないでしょう。SIMを入れるときに「APN設定」というネットワークの設定をしないと使えません。説明書に書いてある通りに設定すれば大丈夫です。

3 大手通信会社に比べて、通信速度が遅い場合があります。時間帯によって著しく速度が下がる時もあると言われていますが、安いんだからあきらめなさいってことです。最近は、速度については改善されてきています。私も格安SIMを使っていますが、速度の点で不満に思うことはほとんどありません。

4 通話し放題プランが必要な留学生はいるのでしょうか?よほどアクティブなビジネスマンみたいな留学生以外は、それほど自分から電話はかけないでしょう。

5 これだけは問題になるかもしれません。クレジットカードを作って日本に来た学生はよいのですが、日本で留学生がクレジットカードを作ることは簡単ではありません。ただ、銀行振込も可能な格安SIMの会社もいくつかあるので、そういう会社を使うしかないでしょう。

格安SIMのデメリットを見てみましたが、ほとんどの留学生にとって1~4はほとんど問題にならないでしょう。とにかく、使えればよいのです。

格安SIMのサービス

有名な格安SIMのサービスは次のようなものがあります。
格安SIMの普及に伴い、だんだんと料金プランが複雑になってきました。長くなってしまうのでここで比較はしませんが、どのサービスも、データ通信は数百円〜、通話つきの場合は1,000円台後半から、プランがあります。

月々2,000~3,000円くらいは携帯電話に出費してもよいという場合は、こういった格安SIMを契約するといいでしょう。

大都市の家電量販店にはだいたい、これらのSIMカードが置いてあり、その場で契約できます。最近では、筆者の住んでいる田舎のケーズデンキやノジマなどにも、一部の格安SIM(楽天モバイルとか)が販売されています。最近は、取り扱い店舗も増えています。

とりあえず近くの電気やさんに行ってみてください。

3. Softbankのプリペイド携帯「Simply」を契約

日本の大手携帯会社は、一応プリペイド携帯のサービスも提供しています。Softbankとauが提供していますが、おすすめはSoftbankで、「simply」という携帯を契約する方法です。

Softbankの「simply」は、以下のページで紹介されています。

Simply | シンプルスタイル(プリペイド携帯電話) | 製品情報 | モバイル | ソフトバンク

Simplyは、Softbankから2017年12月に発売された、名前の通りシンプルな携帯電話です。できることは、電話、メール、SMS、簡単なインターネットブラウジングくらいです。一応、スマートフォンと同じAndroidがOSとして入っていますが、電話機能に特化されているため、新たなアプリのインストールなどはできません。

機種代金は6,458円で、4,000円分のチャージが付いてきます。契約事務手数料・機種変更手数料が3,000円かかるので、初期費用は1万円くらいと思っていいでしょう。

プリペイドなので、その都度チャージが必要です。通話料金などについてはこちら

通話料は8.58円/6秒です。30秒あたり約43円なので、よくある通話料金の2倍以上です。まあ、プリペイドなので仕方がないでしょう。

留学期間が終わったら、携帯電話本体はSIMロックを解除して、買取店やメルカリなどのフリマアプリで売ることができます。次に留学しにくる別の学生に譲ってもいいですね。

結論

以上、見てきたとおり、月々1,000円、2,000円くらいでも携帯電話が使えることを紹介しました。

日本の携帯電話契約はとにかく複雑なのですが、留学生をサポートする人たち(学校の教職員やまわりの学生)が、ガラケープランや格安SIMについて基本的な仕組みや主なサービスを覚えておいて、留学生におすすめするようにした方がいいと思います。

とにかく留学生には、電話番号くらいは持っていてほしいのです。

SIMカードはamazonから買うと、契約手数料(3,000円程度)が無料になるようです。表示価格が300円とか非常に安く見えますが、もちろん月額料金は別途かかります。また、購入したらすぐSIMが届くのではなく、パッケージの指示にしたがって、各会社のサイトから登録する必要があります。日本語がよくわかる人でも難易度高めかもしれません。

2018年2月6日火曜日

カザフスタン初の仮想通貨「KZ CASH」とは


仮想通貨(暗号通貨)が580億円ぶん流出したり、大暴落したり、何かと話題になっています。そんな中、ほとんどの人が興味がないと思いますが、カザフスタンの仮想通貨事情について調べてみました。そこで見つけた「KZ CASH」について紹介します。

なお以前、仮想通貨について取り上げた記事はこちらです:野口悠紀雄『ブロックチェーン革命』:仮想通貨技術は世界を変えるか - Blog Da

この記事を書いてから、仮想通貨・ブロックチェーンについては、ぼんやりとウォッチし続けています。

KZ CASHとは

KZ CASH(KZC)は、「カザフスタンで開発された最初の仮想通貨」と謳われています。

公式サイト:https://kzcash.kz/

CEOは、Alibek Mahambetabiev (Алибек Махамбетабиев、アリベク・マハンベタビエフ)さん。

どんな素性か気になりましたが、英字表記で名前を検索しても、ほとんど情報は出てきません。ロシア語表記で調べたところ、次の記事が見つかりました。

В Казахстане запустили первую криптовалюту(カザフスタンで初めての暗号通貨が発行される)

写真に写っている人がアリベクさんです。

仮想通貨を発行する際には、開発の予定を示した「ロードマップ」が作成されるのが常とのことで、KZ CASHにもロードマップがあります。

Дорожная карта KZCash 2017-2018(KZ CASHのロードマップ)

これを見ると、2017年11月に取引所に上場し、2018年3月には世界TOP5の取引所に上場し、5月には世界100位、同6月には世界30位の仮想通貨を目指す、という野心的な計画が見て取れます。あまりに破竹の勢いすぎて、本気なのかどうか疑いたくなります。

KZ Cashの目的

仮想通貨には、それぞれ特性や作られた目的があります。例えば、Ripple(XRP)は、国際送金を媒介し、送金を低コスト・効率的にするのが大きな目的です。

KZ CASHについては、公式サイトのこちらのページに、その目的が書かれています。

https://kzcash.kz/en/17-introductuion

概要を書き出すと、次の通りです。
1.Crypto-ATMを作る
Bitcoin、Ethereum、Litecoin、そしてKZ CASHを購入、またはカザフスタンの通貨テンゲへ両替できるATMを作る。最初のATMはアスタナ・エキスポセンターに設置する。
2.中小ビジネスの決済に使う
中小ビジネス、特にサービス業の決済にKZ CASHを利用できるシステムを構築する。例えば、合法カジノなどの支払いに利用する。
ページ下段にも、補足的な説明がされています。ここを読むと、特に外国人観光客が使うことを想定していることが分かります。
Payment processing services will be provided in priority to hotels, restaurants and other companies in tourism, in order to make usage of KZ Cash overall and most comfortable for the guests of our Kazakhstan.
KZ CASH決済は、特にホテル、レストランや旅行会社によって使われる、とのこと。
前述の合法カジノの記述も合わせると、カザフスタン国民向けの通貨ではない、ということがよく分かります。

しかし、外国人観光客向けのホテルやレストランであれば、大抵クレジットカード決済で十分だし、もしBitcoinやLitecoinがカザフスタン国内で合法的に利用できれば、わざわざKZ CASHに変える必然性は少ないでしょう。

使われるとしたら、KZ CASHで支払いをすることによってホテルやレストランで割引サービスがあるだとか、地域通貨的な使い方のみとなるでしょう。それはそれで、観光振興に役立つので良いと思います。しかし、世界30位の仮想通貨になるだとかは、だいぶ大げさです。

購入方法

BTC Alphaというサイトで購入できるようです。

しかし、仮想通貨の相場の状況を確認できるCoinMarketCapというサイトで見ても、出来高はさっぱりのようですね。

https://coinmarketcap.com/currencies/kzcash/

時価総額ランキングでは1,315位(1,507通貨中)。1日の取引ボリュームは10,000~100,000USD(100万円~1,000万円)程度です。ビットコイン(BTC)は1日の取引が数千億円レベルなので、その足元にも及びません。

さすがに今年、世界30位の通貨となることは難しそうです。

買う人はいないと思いますが、購入は自己責任でお願いします。

まとめ

以上、カザフスタンの仮想通貨「KZ CASH」についてわかったことをまとめました。

KZ CASH自体は特にものすごい可能性を秘めた仮想通貨でもなさそうです。

ただ、カザフスタンは仮想通貨やブロックチェーンに対して非常に前向きな姿勢だというのは、現地メディアやロシア語メディアで度々取り上げられています。

最近では、カザフスタン・ブロックチェーン・暗号通貨協会という組織ができたようです。

КАЗАХСТАНСКАЯ АССОЦИАЦИЯ БЛОКЧЕЙНА И КРИПТОВАЛЮТ
(まだコンテンツは作成中らしいですが、近日中に公開されるとのこと。)

カザフスタンは2017年にアスタナ万博を開催し、万博の会場を金融センターとして活用することを計画しています。

先日、ロシアで仮想通貨の規制法が作られるという報道がありましたが、ロシアと関係の深いカザフスタンも、それにならって今年の早いうちに法整備がなされる見込みです。カザフスタンのような新興国家ほど、トップの意向次第で、こういった新しい技術の導入は早いということも言われます。

KZ CASHはともかくとして、カザフスタンでは今後、国家プロジェクトとして仮想通貨やブロックチェーンの領域で何らかの政策に取り組むものと見られます。この領域での、カザフスタンの今後には要注目です。