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2019年8月4日日曜日

ウズベキスタンは「次なるベトナム」となるか

(ウズベキスタン・サマルカンドの「Tourist Police」)

アジアで経済が急成長し、日本との関係も活発な国といえば、まずベトナム、マレーシア、インドネシアといった国を挙げる人が多いでしょう。そんな中、もう1つ、ベトナム並…とまではいきませんが、今後経済の成長や日本との交流の活発化が予想される国、「ウズベキスタン」について考察します。

ウズベキスタンとは

ウズベキスタンは中央アジアに位置する国で、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタンに囲まれた内陸国です。海に出るためには2つ以上の国を通過しなければならない「二重内陸国」です(二重内陸国は世界に2カ国しか存在しない)。

最近は前田敦子さん主演の映画「旅のおわり世界のはじまり」の舞台にもなり話題を読んでいます。

「旅のおわり世界のはじまり」公式サイト

ウズベキスタンのあたりは地理的に東西を結ぶシルクロードの交易の要塞として栄えた地域で、歴史を勉強した人であれば「サマルカンド」「ティムール朝」などといったキーワードを聞いた人も多いでしょう。この地域では、歴史上、多くの国が勃興していきました。

20世紀に入りロシア革命が起こると、ロシア帝国の支配を受けていたウズベキスタンでも共産党政権が成立し、ソビエト連邦の一共和国としてウズベク・ソビエト社会主義共和国が成立します。その後、1990年代に入るとソ連崩壊に伴い独立し、現在のウズベキスタンとなりました。

独立後のウズベキスタンでは、初代大統領のカリモフ氏が長らく強権的な政権を維持してきましたが、2016年にカリモフ氏の死去に伴い新大統領のミルジョエフ氏に変わると、社会・経済の改革が進められるようになりました。

ウズベキスタンの歴史や概要については、以下の書籍を読むと理解が進みます。


人口増加

ここからが本題です。ウズベキスタンの現状を、ベトナムなど東南アジア諸国と比較しながら考察していきましょう。

まずは人口です。ウズベキスタンは中央アジア諸国の中でも最大の人口規模を有し、現在の人口は約3,200万人(2018年)。ベトナムは9,000万人以上なので多くは見えませんが、マレーシアの人口も約3,200万人と同じくらいです。

 
ウズベキスタンでは人口増加が顕著で、合計特殊出生率は2.46(2016年)。これは、日本で第一次ベビーブームのなごりが残っていた1950年代の水準に近いです。いわゆる「人口ピラミッド」は日本の高度経済成長期のようなピラミッド型になります。なお世界人口基金によると、2050年にはウズベキスタンの人口は4,000万人を突破すると見込まれています。

経済成長

ウズベキスタンのGDP(国内総生産)は433億ドル(2018年)で、世界94位。経済規模は確かにそれほど大きくありません。ウズベキスタンよりも人口が少ない隣国カザフスタンのGDPよりも少ないです。人口規模が同じマレーシアにも到底敵いません。

当然、一人あたりGDPもさほど高くはありませんが、実はちょうどベトナムの一人あたりGDPと同じくらいです。そして一人あたりGDPの推移を時系列で比較すると、ウズベキスタンとベトナムはまさに同じような値を推移してきています。

 
今後、ウズベキスタンとベトナムのどちらが成長のピッチを速めるか、このグラフは見モノと密かに注目しています。

ウズベキスタンの経済で今後注目できるのは「観光」、「工業生産」だと考えています。ウズベキスタンは日本国籍者などの入国ビザを免除するなど観光立国を目指しており、観光客は2018年1~9月期で390万人で、2017年同時期に比べ2倍に増加しました(ジェトロ短信より)。

また、工業生産については、過去記事「ウズベキスタンではなぜシボレー車が多いのかでも紹介したように国内にGM系列、ISUZUなどの自動車工場を抱えています。ベトナムでは日本企業の工場が多数進出していますが、ウズベキスタンでも、中東やアフリカ、ヨーロッパへの供給地として、自動車、繊維などの工場を展開する余地があります。

工業生産の状況については、JETROのレポートが参考になるので、ご覧ください。 https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2018/b1866ca3b26e44f7.html

留学生の増加

次に、留学生の増加について考えます。ベトナムやネパールからの留学生が急増していることは数年前から言われていましたが、2017〜2018年頃から、ウズベキスタン出身の留学生が急増したことが関係者の間では話題になりました。

日本学生支援機構(JASSO)が公開している外国人留学生在籍者数のデータを見ると、ウズベキスタンから大学・大学院への留学生数は383人(2016年)、441人(2017年)ときて、2018年には705人と一気に増加しています。日本語学校への留学者数を合わせた総数は、1,047人(2017年)だったのが、2018年には2,132人を突破しており、日本語学校への留学者数の増加が顕著です。

ベトナム(留学生総数72,354人/2018年)と比べるとまだウズベキスタン出身留学生の割合は少ないですが、タイ(3,962人)やマレーシア(3,094人)と並ぶような日本留学の送り出し国となる可能性があります。

日本語学校への留学は、実質出稼ぎ労働の斡旋をしているような学校の問題もあり、なかなかビザが取りにくくなっていると言われているので、一時的に日本語学校への留学者数は減る可能性もあります。ただ、ウズベキスタン側は海外留学を支援する奨学金基金(El-yurt umidi)を創設するなどしており、日本への留学者数は今後も増え続けるでしょう。

まとめ(将来発生する「ウズベク人問題」に備えて)

ウズベキスタンを、ごく限られた視点ですが東南アジアとの比較で考察してみました。
今後、東南アジア諸国と同様に経済成長し、日本との関係も深まるとなればバラ色の未来があるような感じがしますが、一方で問題も発生してくるでしょう。

例えば、急増したベトナム人やネパール人の技能実習生の問題(受入企業の劣悪な労働環境や失踪)、東京福祉大学の外国人研究生「行方不明」問題などです。こういった外国人労働者、留学生の問題が起こった時に、これまでは中国、ベトナム、ネパールなどの国名が報道ではあがっていましたが、この中に「ウズベキスタン」が加わる日も近いでしょう(なお、ウズベキスタンも技能実習生の送り出し国です)。

実際に、日本に住むウズベキスタン国籍者が、不法滞在や窃盗で逮捕されるニュースもちらほらと聞くようになりました。

またこれはフィクションですが、ウズベキスタン出身の技能実習生らが主要な登場人物となるミステリーが「文芸カドカワ」連載されているようです。ミステリーなので設定上必要だったのかもしれませんが、ベトナム人でもネパール人でもなく、ウズベキスタン人というのが象徴的なような気がします。

移民国家・日本を舞台に新・直木賞作家が放つ壮大なミステリ!【新連載試し読み 真藤順丈「ビヘイビア」】 | カドブン

ウズベキスタンをよく知る人やネットワークのある人は、「かれらは親切でお互いよく助け合うから、日本でも穏やかに暮らすだろう」などとつい思ってしまいがちです。しかし、彼らだけ特別なんてことはありません。いつかどこかの地域で、「ウズベク人問題」が発生する日も来るでしょう。

そんな時に備えて、過去に学び、在日ウズベキスタン人が適切なサポートを受けられる体制ができることを願いますし、筆者もウズベキスタンに縁がある人間の一人として、できることがあれば力を尽くしたいと考えています。

2018年5月14日月曜日

ウズベキスタンではなぜシボレー車が多いのか

中央アジアの国・ウズベキスタンへ入国して驚きを感じることの1つは、「走っている自動車のブランドが全然違う」ことではないでしょうか。日本とはもちろん、カザフスタンなど国境を接する隣国とも、走行している車の印象が全然違うのです。

その理由が、シボレー車の圧倒的シェアです。あくまで体感ですが、走っている車のうち、8割以上はシボレーブランドの自動車と思われます。トヨタやホンダなんてほとんど見かけません(隣国カザフスタンはトヨタだらけなのに)。しかも白い車体ばかりです。

首都タシケントの中心部。写っている車はすべてシボレー車


なぜシボレーはウズベキスタンで人気なのでしょうか。

気になったので、少し調べてみました。

シボレーとウズベキスタンの関係

シボレーは、アメリカの自動車メーカーGM(ゼネラル・モーターズ)が有するブランドです。日本ではあまり見かけませんが、全世界で展開されているブランドです。

GMがウズベキスタンへ進出したのは1996年。GM傘下の韓国の自動車メーカーGM大宇(Daewoo・デウ 、現在の韓国GM)が、ウズベキスタンの国策自動車会社(UZ Auto)との共同出資でUz-Daewoo-Autoという自動車ブランドを設立したことがきっかけです(公式サイトによると、登記自体は1993年、実際の稼働は1996年開始)。

半国有の自動車メーカーということで、輸入車よりも有利な条件で販売されていたと想像できます。ウズベキスタンはソ連からの独立後、漸進的に社会主義経済からの移行をしていたのです。

その後、GM大宇ブランドの廃止に伴い、2008年にUz-DaewooもウズベキスタンGMへと変わりました。いまでもDaewooのロゴ入りの車を見かけますが、多くはシボレーブランドのロゴに切り替わっています。

参考:http://gmuzbekistan.uz/companies/istoriya_razvitiya
https://en.wikipedia.org/wiki/GM_Uzbekistan

シボレー・ウズベキスタンのラインナップ

世界的ブランドのシボレーとはいえ、もともとがDaewooブランドだったこともあり、ラインナップもDaewooに準じています。現在のシボレー・ウズベキスタンが扱う車種は以下の通り。

Uzbekistan GM公式サイトより


基本カラーが白のためか、ほとんどが白い車体です。ときどき緑の車体を見ると「おっ」と思います。コンパクトからSUVまで、ひととおりそろっている感じです。

中でも面白いのが、Damas(ダマス)です。これは、かつてGMと提携関係にあったスズキのエブリィを基にした車種だそうで、その後DaewooおよびウズベキスタンGMで独自の進化を遂げました。

レトロというか、愛嬌がある顔立ちで、個人的には好きです。街中でも普通の乗用車や配達車として、よく見かけます。

ウズベキスタンのダマスについてレポートしている日本語記事(カーマニアでも走ってるクルマの名前が滅多にわからない! ウズベキスタンのクルマ事情 | 日刊SPA!)によると、現地のディーラーでも人気のようです。

さらに、GMウズベキスタンはRavonという新たなブランドを2015年に立ち上げました。これは特にCIS地域のローカルブランドだそうで、ロシアやウクライナ、カザフスタンなどに展開しています(UzDaily.com: New automobile brand Ravon presented in Moscow)。

まとめ

ウズベキスタンでシボレー車が多い理由についてまとめてみました。

前述のように、ウズベキスタンGMはRavonという独自ブランドで近隣地域に展開しようとしています。GM資本は入っていますが、独自ブランドで積極的に自動車生産・販売を行っているのは、中央アジアでもウズベキスタンだけでしょう。

なお、ウズベキスタンはISUZU のトラックやバスの生産も行っています。自動車生産は非常に盛んなのです。

ウズベキスタンは生産人口も多く、工場労働者の確保も容易でしょう。2016年に大統領が変わり、近隣諸国との関係改善を進めているところです。今後、ウズベキスタンの自動車産業がこの国の発展の鍵となる可能性が、大いにあります。

ウズベキスタンの今後の成長に関する考察は、別記事「ウズベキスタンは「次なるベトナム」となるか」をご覧ください。


2018年4月11日水曜日

日本でキルギス語を勉強するにはどうしたらよいか

この記事は以下のURLに移転しました。

2018年2月6日火曜日

カザフスタン初の仮想通貨「KZ CASH」とは


仮想通貨(暗号通貨)が580億円ぶん流出したり、大暴落したり、何かと話題になっています。そんな中、ほとんどの人が興味がないと思いますが、カザフスタンの仮想通貨事情について調べてみました。そこで見つけた「KZ CASH」について紹介します。

なお以前、仮想通貨について取り上げた記事はこちらです:野口悠紀雄『ブロックチェーン革命』:仮想通貨技術は世界を変えるか - Blog Da

この記事を書いてから、仮想通貨・ブロックチェーンについては、ぼんやりとウォッチし続けています。

KZ CASHとは

KZ CASH(KZC)は、「カザフスタンで開発された最初の仮想通貨」と謳われています。

公式サイト:https://kzcash.kz/

CEOは、Alibek Mahambetabiev (Алибек Махамбетабиев、アリベク・マハンベタビエフ)さん。

どんな素性か気になりましたが、英字表記で名前を検索しても、ほとんど情報は出てきません。ロシア語表記で調べたところ、次の記事が見つかりました。

В Казахстане запустили первую криптовалюту(カザフスタンで初めての暗号通貨が発行される)

写真に写っている人がアリベクさんです。

仮想通貨を発行する際には、開発の予定を示した「ロードマップ」が作成されるのが常とのことで、KZ CASHにもロードマップがあります。

Дорожная карта KZCash 2017-2018(KZ CASHのロードマップ)

これを見ると、2017年11月に取引所に上場し、2018年3月には世界TOP5の取引所に上場し、5月には世界100位、同6月には世界30位の仮想通貨を目指す、という野心的な計画が見て取れます。あまりに破竹の勢いすぎて、本気なのかどうか疑いたくなります。

KZ Cashの目的

仮想通貨には、それぞれ特性や作られた目的があります。例えば、Ripple(XRP)は、国際送金を媒介し、送金を低コスト・効率的にするのが大きな目的です。

KZ CASHについては、公式サイトのこちらのページに、その目的が書かれています。

https://kzcash.kz/en/17-introductuion

概要を書き出すと、次の通りです。
1.Crypto-ATMを作る
Bitcoin、Ethereum、Litecoin、そしてKZ CASHを購入、またはカザフスタンの通貨テンゲへ両替できるATMを作る。最初のATMはアスタナ・エキスポセンターに設置する。
2.中小ビジネスの決済に使う
中小ビジネス、特にサービス業の決済にKZ CASHを利用できるシステムを構築する。例えば、合法カジノなどの支払いに利用する。
ページ下段にも、補足的な説明がされています。ここを読むと、特に外国人観光客が使うことを想定していることが分かります。
Payment processing services will be provided in priority to hotels, restaurants and other companies in tourism, in order to make usage of KZ Cash overall and most comfortable for the guests of our Kazakhstan.
KZ CASH決済は、特にホテル、レストランや旅行会社によって使われる、とのこと。
前述の合法カジノの記述も合わせると、カザフスタン国民向けの通貨ではない、ということがよく分かります。

しかし、外国人観光客向けのホテルやレストランであれば、大抵クレジットカード決済で十分だし、もしBitcoinやLitecoinがカザフスタン国内で合法的に利用できれば、わざわざKZ CASHに変える必然性は少ないでしょう。

使われるとしたら、KZ CASHで支払いをすることによってホテルやレストランで割引サービスがあるだとか、地域通貨的な使い方のみとなるでしょう。それはそれで、観光振興に役立つので良いと思います。しかし、世界30位の仮想通貨になるだとかは、だいぶ大げさです。

購入方法

BTC Alphaというサイトで購入できるようです。

しかし、仮想通貨の相場の状況を確認できるCoinMarketCapというサイトで見ても、出来高はさっぱりのようですね。

https://coinmarketcap.com/currencies/kzcash/

時価総額ランキングでは1,315位(1,507通貨中)。1日の取引ボリュームは10,000~100,000USD(100万円~1,000万円)程度です。ビットコイン(BTC)は1日の取引が数千億円レベルなので、その足元にも及びません。

さすがに今年、世界30位の通貨となることは難しそうです。

買う人はいないと思いますが、購入は自己責任でお願いします。

まとめ

以上、カザフスタンの仮想通貨「KZ CASH」についてわかったことをまとめました。

KZ CASH自体は特にものすごい可能性を秘めた仮想通貨でもなさそうです。

ただ、カザフスタンは仮想通貨やブロックチェーンに対して非常に前向きな姿勢だというのは、現地メディアやロシア語メディアで度々取り上げられています。

最近では、カザフスタン・ブロックチェーン・暗号通貨協会という組織ができたようです。

КАЗАХСТАНСКАЯ АССОЦИАЦИЯ БЛОКЧЕЙНА И КРИПТОВАЛЮТ
(まだコンテンツは作成中らしいですが、近日中に公開されるとのこと。)

カザフスタンは2017年にアスタナ万博を開催し、万博の会場を金融センターとして活用することを計画しています。

先日、ロシアで仮想通貨の規制法が作られるという報道がありましたが、ロシアと関係の深いカザフスタンも、それにならって今年の早いうちに法整備がなされる見込みです。カザフスタンのような新興国家ほど、トップの意向次第で、こういった新しい技術の導入は早いということも言われます。

KZ CASHはともかくとして、カザフスタンでは今後、国家プロジェクトとして仮想通貨やブロックチェーンの領域で何らかの政策に取り組むものと見られます。この領域での、カザフスタンの今後には要注目です。

2017年6月10日土曜日

開幕!カザフスタン・アスタナ万博とカザフスタンのこれから

先日、大阪が2025年の万博開催地に立候補した事がニュースとなりましたが、今年の万博がどこで開催されるか、ご存知でしょうか。今年は、カザフスタン共和国の首都・アスタナで開催されています。6月9日に開会式が行われ、会期は6月10日から9月10日まで、3ヶ月間です。

カザフスタンとは?アスタナとは?

カザフスタンはソ連崩壊後に独立し、2017年で独立25年を迎えます。ロシアの南、中国の東に位置し、国土面積は世界第9位という広さに対し、人口は約1,700万人です。天然ガス、石油、レアメタルなどの天然資源が豊富で、2000年代に急激な経済発展を遂げました。ただ、ここ数年は資源価格の下落により、経済は少し減速しています。


 カザフスタンのGDP成長率

主要民族はカザフ人で、人口のおよそ7割を占めます。カザフ人はアジア系の顔立ちで、日本人ともよく似ています。最近だと、「美しすぎる女子バレー選手」として話題になったサビーナ選手が話題になりました。カザフ人以外にはロシア人や朝鮮人など多くの民族が暮らしています。 フィギュアスケートのデニス・テン選手も朝鮮系カザフスタン人です。
サビーナ・アルティンベコワ選手(instagramより)

そのカザフスタンの首都がアスタナです。もともとカザフスタンの首都は、南部のアルマティでしたが、1998年にアスタナへ遷都されました。アルマティでの大地震や、ロシア系住民の多い北部の分離独立を警戒したためなど、遷都の理由は様々あるようです。

遷都の前は、アクモラという名前の街でした。当時の人口は25万人程度で、遷都後に急速に街が整備され、現在は80万人を超えています。なお、アスタナの新都市を設計したのは、コンペで優勝した日本の建築家・黒川紀章氏です。

新たに作られた都市のため、市内には斬新な形状をした、近未来的な建築物が多々あります。

首都・アスタナ

アスタナ万博のテーマ

アスタナ万博のテーマは「Future Energy」。自然エネルギーの活用、エネルギー利用の効率化など、未来のエネルギーのあり方を考えることが焦点となっており、100以上の国・地域と国際機関のパビリオンにはそれぞれのアピールしたいテクノロジーや取り組みが紹介されているようです。

アスタナ万博の公式ページ(英語)はこちら

会場図もありますが、日本で行われた大阪万博や、数年前に行われた上海万博、ミラノ万博ほどの規模は無いように見えると思います。

それもそのはず。ひとくちに「万博」といっても、5年に1回程度開催される大規模な万博(登録博)と、専門的なテーマに絞った万博(認定博)があり、アスタナ万博は後者の認定博の方です。認定博は、会期や会場面積などに制限があり、分野も絞られた万博です。なので、規模もテーマも限定的です。

とはいえ、国際的な大規模イベントであることには変わりなく、かなりの労力と資金が投じられ、一般の人が楽しめるようになっています。

テーマに沿ったパビリオンのほか、シルク・ドゥ・ソレイユの公演など文化イベント、その他様々なイベントが開催されるようです。

なお、日本もパビリオンを出しています。日本館の特設サイトはこちら

カザフスタン国民の熱狂は?

日本では、かつての大阪万博が国民の熱狂を呼び、その後の高度成長期へと繋がった象徴的なイベントでした。前述のように「認定博」とはいえ、新興国であるカザフスタンでの万博開催となれば、さぞかし国民が熱狂していることでしょう・・・と思いきや、案外そうでもないようです。

東京オリンピックがいまいち盛り上がらず、開催に反対する都民が一定数いるように、アスタナ万博も冷めた目で見ているカザフスタン国民もいます。

これには理由があって、アスタナ万博は、プロジェクト開始から様々なスキャンダル、トラブルに見舞われてきました。




この記事によると、アスタナ万博をめぐって次のようなスキャンダル、トラブルがあったようです。関係者の自動車事故、アスタナ万博のための国策会社幹部による組織ぐるみの汚職、建設中のパビリオン内でバーベキューして(ネットが)炎上しちゃった問題、マスコットキャラクター変更論争、さらには吹雪による建設中パビリオンの倒壊・・・。
これはさすがのカザフスタン国民もゲンナリするはずです。

まあ東京五輪も、スタジアム問題、会場問題、ロゴ問題、費用負担問題、無償ボランティア・・・とこれまでも問題山積でまだまだ問題は出てきそうなので、よその国のことは言えませんけどね。今のところ、汚職が無いだけましでしょうか。

批判はさておき、多くのカザフスタン国民は「やるなら成功してほしい」とは思っているはずです。アスタナ万博の成功を祈ります。

万博後、カザフスタンはどこへ向かうのか

カザフスタンの向かう方向性は明確です。カザフスタン政府は「Kazakhstan 2050」という、2050年に向けた国家目標を定めています。

「Kazakhstan 2050」の特設サイトまであります。
これによると、カザフスタンは「2050年までに一人当たりGDPを60,000USドルまで増やす」という目標を掲げています。2016年の日本の一人当たりGDPが38,917ドル(世界22位)なので、かなり野心的な目標と言えます。なお、2016年のカザフスタンの一人当たりGDPは7,452ドルで、世界77位となっています(参考)。

また、経済成長だけではなく、「2025年までにカザフ語をキリル文字からラテン文字へ移行する」といったアイデンティティーに関わる目標や、「水問題の解決」など環境・国際関係に関わる目標も掲げています。

カザフスタンはいま、岐路に立たされていると思われます。しばらく経済成長を支えてきた天然資源価格の上昇は終わりました。また、独立から25年、大統領としてカザフスタンの成長をけん引してきたナザルバエフ大統領ですが、高齢となり世代交代の必要に迫られるでしょう。

アスタナ万博の遺産を活用し更なる発展へと舵を切れるか、それとも負の遺産として持て余し、停滞の時代を迎えるのか。カザフスタンの今後に要注目です。

2016年10月27日木曜日

簡単!スケジュール自動共有&リマインドサービスをZapierで作る

Zapierとは

Zapierは、いろいろなウェブサービスを連携させて処理を自動化するサービスです。例えば、Twitterにメンションが届いたらSlack(チャットアプリ)に知らせてくれる、instagramで新しい写真を投稿したらDropboxに追加する、Evernoteに新しいノートを作ったらGoogleスプレッドシート行を追加する・・・などの自動処理が、難しい知識なしで簡単に実現できます。連携できるサービスは728種類(2016年10月22日時点。筆者が指で数えた(笑))もあるので、いく通りもの組み合わせで自動処理が実現できます。

似たようなサービスにはiftttやMythingsなどがあります。もともとiftttが有名でしたが、最近はZapierが目立って台頭してきました。My thingsは日本のyahooが運営しているサービスなので、日本発サービス(はてな!など)との連携に強みがありますね。

見本

このZapierを使ってどんなものができるか、具体的に紹介します。

紹介したいのは、私が運営している「ユーラシアイベントガイド」です。これは、ロシア、中央アジアなど旧ソ連圏に関するイベント(講演会など)をFacebookやTwitter で紹介し、かつTwitterでは開催前日になるとリマインドのツイートをするという、イベント共有サービスのようなものです。こういったイベントの情報は、これまでは様々な情報ソース(メーリングリスト、ウェブサイト、個人のFacebookフィードなど)で紹介されていましたが、それを一元化してより広い層に情報を届けようと狙ったものです。
このサービスの仕組みですが、次のようになっています。
  1. Google カレンダーにイベント情報を登録する
  2. Facebook、Twitterでイベント情報が自動で投稿される
  3. イベント前日になるとTwitterでリマインドの投稿が自動でされる
図で書くとこんな感じです。


今回は、これとほぼ同じ機能を持った自動連携機能(「Zap(ザップ)」と言います)をZapierで作ってみましょう。

作ってみよう

準備するもの

  • Zapierアカウント
  • Facebookページアカウント(無ければ個人のFacebookアカウント)
  • Twitterアカウント
  • Googleアカウント

おおまかな流れ

おおまかな流れは、次の3ステップです。
  1. Triggerを設定
  2. Actionを設定
  3. ZAPをON!
それでは、開始しましょう。

Zapierにログイン

新規登録し、ログインするとこのような画面になりますが、右上の「MAKE A ZAP!」をクリックします。

Triggerを設定する

まずどのサービスでどういったイベントが発生したら処理を開始するかを設定します。ここではGoogleカレンダーを選びます。


アカウントと連携する

自分のGoogleアカウントとZapierを連携させる設定を行います。Zapierとの連携を許可してください。

Trigger イベントを決める

どんな動作があったら処理を開始するか決めます。New Event Searchの場合は、条件にあったイベントが登録された場合、Event Startはイベント開始の一定期間前になったら、New Eventは新規イベントが登録されたら、という意味です。


使用するカレンダーをきめる

Googleカレンダーでは、プライベート用、仕事用、複数のカレンダーを作ることができます。連携に使用する、公開してよいカレンダーを選びましょう。

テストする

ちゃんとGoogleカレンダーの情報が取得できるか、テストしてみましょう。この時、カレンダーになんらかのイベントが登録されていないとうまくいきません。テストができたら、Triggerの設定は終わりです。


Action を設定する

「カレンダーに予定が登録されたらTwitterでツイートする」という設定をしましょう。

アカウントと連携する

この画面でTwitterを選択し、アカウントと連携させます。


Action イベントを決める

「カレンダーに予定が登録されたらTwitterで・・・する」の・・・の部分を決めます。Twitterは、ツイートする、画像付きツイートをする、ユーザーをリストへ追加する、ユーザーを検索する、などのActionができます。ここでは「Create Tweet」を選びましょう。


テンプレートを作る

次に、Tweetでどんな投稿をするか、テンプレートの文章を作りましょう。Googleカレンダーと連携した場合、日付、場所、開始時間、件名などを自動で取得できます。それを枠内に並べ、間や冒頭、末尾に文章を加えることができます。


テストする

カレンダーから予定を取り込み、ツイートできるかテストしてみましょう。


ONにする

Dashboardへ行くと、自分の作った「Zap」一覧があるので、いま作ったZapをONにしましょう。すると、カレンダーに予定を登録すると数分後に自動的にツイートが投稿されるようになります。



他の連携

Facebookと連携する場合、新しくZapを設定し、Action の部分をFacebookに変えればいいだけです。

Twitterでイベント前日にツイートする場合、はじめのTrigger設定でEvent Startを選び、何日前(または時間単位でも設定できる)にリマインドするか設定しましょう。あとは上記のTwitterの設定と同じです。

注意

無料だと、Zapを3つまでしか実行できない、処理は150回まで、などの制限があります。大量に処理を行う場合は有料プランを契約しましょう。ちなみに「ユーラシアイベントガイド」は無料プランで使えています。

まとめ:何ができるか考えてみよう

今回は自動イベント共有サービスの作り方を紹介しましたが、いかがでしょうか?意外と簡単なのではないでしょうか?

ZapierではGoogleカレンダー、Facebook、Twitter以外にも色々なアプリと連携しているので、どんな自動処理ができ、そして日々の生活や仕事をどう効率よくできるか、考えてみましょう。何かいい「Zap」を思いついたらぜひ教えてください。

2013年5月3日金曜日

ビシュケク(キルギス)の本屋事情

はじめに

キルギス共和国の首都・ビシュケク。 カザフスタンのアルマティと違い、本屋の数は非常に少ないです。 しかも、なかなか見つけづらいし、天候にも左右されます。
……天候?
どういうことか気になる方は、ぜひ読み進めてくださいね。 以下、ビシュケク市内の本屋情報です。
(情報は記事投稿時点のものです。状況の変化は大いに考えられるので、ご注意ください)

Раритет(ラリチェット)

市内に何店舗かある本屋さんです。 ロシア語の本がほとんどですが、キルギス語の本も僅かに置いてあります。
ロシア語の本については品揃えが豊富です。 デパートのテナントとしても出店していますが、 独立型の主要な店舗は次の2つです。

チュイ通り店(?)

住所:г. Бишкек, пр. Чуй, 271
チュイド大通り沿い、オシュバザール付近にあります。 看板は出ていますが、すぐには見つけられないかもしれません。 写真がなくて申し訳ありません(><)。 ここの特徴は、新品本と共に中古本も扱っているところです。 2階の、レジに向かって左側の小部屋に、古本が置いてあります。
状態のいい本や貴重な本があるので、大変重宝しました。

センター店(?)

住所:г. Бишкек, ул. Пушкина, 78
中心部・アラトー広場のすぐ脇にあります。 お店の看板付近の階段を少し下りた所が入り口となります。 「ここ、本当に本屋さんなの?」という感じの入り口ですが、 中に入ると意外と広い。 こちらもロシア語の本がメインです。 キルギス語の本、現地のロシア語出版物は本棚2つ分くらい。

Одиссей(オディッセイ)

住所:г. Бишкек, пр. Манаса, 40
多目的ホール「フィラルモーニア」の近くにあり、看板も出ており目につきやすい。 ここもロシア語の本が多いが、Раритетより現地出版物の品揃えは豊富な印象です。 Дом русской книги(ドーム・ルスコイ・クニーギ)

Нуска(ヌスカ)

住所:Эркиндик бульвар, 56(google mapで検索しても出ないので注意)
ビシュケク市内で、唯一キルギス語の本・現地出版物を専門に扱っている本屋さんです。 その意味で非常に貴重。店内はあまり広くないが、所狭しと本が積まれている…
とはいえ、「え、これだけ?」と思ってしまう程度の量ではある。 一度は行ってみよう。

露天

さて、以上が店舗なのですが、ビシュケクの面白い所は、 露天の本屋さんが割と充実しているところです。
私が知る限り、次の場所でよく露天の本屋さんを見かけます。

アラトー映画館前

いつも2つくらい島があり、それぞれ全く別の店なのか、 それとも提携しているのかよくわからない。
ロシア語の本とキルギス語の本をわりといい塩梅で揃えています。 新品の本が多いですが、すこし汚れていたりします(だからといって安い訳ではないです)。 他の店では扱っていないような、珍しい本を見かけることもあります。

キエフスカヤ・ソヴィエツカヤ

ツム(中央百貨店)付近、キエフスカヤ通り・ソヴィエツカヤ通り交差点のあたりに、 露天の古本屋さんが大小いくつかあります。
道端に本を広げているだけの店は、居るときと居ない時がありますが、 倉庫を持っているお店は、倉庫の前でいつも本を広げています。
それがこちら。
…犬が店番している(笑)
これは盗めませんね。
ちなみに、店主(?)は、とても気さくなおじさんです(右手前)。

まとめ

以上、ビシュケクの本屋さんを紹介しました。 冒頭で「充実していない」と言った割には、 書き出してみるとなかなか豊富にあるんじゃないかと思い直しました。 ビシュケクへお越しの際は、ぜひ現地でしか買えない本をお土産にしてみてはどうでしょう。