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2019年8月4日日曜日

ウズベキスタンは「次なるベトナム」となるか

(ウズベキスタン・サマルカンドの「Tourist Police」)

アジアで経済が急成長し、日本との関係も活発な国といえば、まずベトナム、マレーシア、インドネシアといった国を挙げる人が多いでしょう。そんな中、もう1つ、ベトナム並…とまではいきませんが、今後経済の成長や日本との交流の活発化が予想される国、「ウズベキスタン」について考察します。

ウズベキスタンとは

ウズベキスタンは中央アジアに位置する国で、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタンに囲まれた内陸国です。海に出るためには2つ以上の国を通過しなければならない「二重内陸国」です(二重内陸国は世界に2カ国しか存在しない)。

最近は前田敦子さん主演の映画「旅のおわり世界のはじまり」の舞台にもなり話題を読んでいます。

「旅のおわり世界のはじまり」公式サイト

ウズベキスタンのあたりは地理的に東西を結ぶシルクロードの交易の要塞として栄えた地域で、歴史を勉強した人であれば「サマルカンド」「ティムール朝」などといったキーワードを聞いた人も多いでしょう。この地域では、歴史上、多くの国が勃興していきました。

20世紀に入りロシア革命が起こると、ロシア帝国の支配を受けていたウズベキスタンでも共産党政権が成立し、ソビエト連邦の一共和国としてウズベク・ソビエト社会主義共和国が成立します。その後、1990年代に入るとソ連崩壊に伴い独立し、現在のウズベキスタンとなりました。

独立後のウズベキスタンでは、初代大統領のカリモフ氏が長らく強権的な政権を維持してきましたが、2016年にカリモフ氏の死去に伴い新大統領のミルジョエフ氏に変わると、社会・経済の改革が進められるようになりました。

ウズベキスタンの歴史や概要については、以下の書籍を読むと理解が進みます。


人口増加

ここからが本題です。ウズベキスタンの現状を、ベトナムなど東南アジア諸国と比較しながら考察していきましょう。

まずは人口です。ウズベキスタンは中央アジア諸国の中でも最大の人口規模を有し、現在の人口は約3,200万人(2018年)。ベトナムは9,000万人以上なので多くは見えませんが、マレーシアの人口も約3,200万人と同じくらいです。

 
ウズベキスタンでは人口増加が顕著で、合計特殊出生率は2.46(2016年)。これは、日本で第一次ベビーブームのなごりが残っていた1950年代の水準に近いです。いわゆる「人口ピラミッド」は日本の高度経済成長期のようなピラミッド型になります。なお世界人口基金によると、2050年にはウズベキスタンの人口は4,000万人を突破すると見込まれています。

経済成長

ウズベキスタンのGDP(国内総生産)は433億ドル(2018年)で、世界94位。経済規模は確かにそれほど大きくありません。ウズベキスタンよりも人口が少ない隣国カザフスタンのGDPよりも少ないです。人口規模が同じマレーシアにも到底敵いません。

当然、一人あたりGDPもさほど高くはありませんが、実はちょうどベトナムの一人あたりGDPと同じくらいです。そして一人あたりGDPの推移を時系列で比較すると、ウズベキスタンとベトナムはまさに同じような値を推移してきています。

 
今後、ウズベキスタンとベトナムのどちらが成長のピッチを速めるか、このグラフは見モノと密かに注目しています。

ウズベキスタンの経済で今後注目できるのは「観光」、「工業生産」だと考えています。ウズベキスタンは日本国籍者などの入国ビザを免除するなど観光立国を目指しており、観光客は2018年1~9月期で390万人で、2017年同時期に比べ2倍に増加しました(ジェトロ短信より)。

また、工業生産については、過去記事「ウズベキスタンではなぜシボレー車が多いのかでも紹介したように国内にGM系列、ISUZUなどの自動車工場を抱えています。ベトナムでは日本企業の工場が多数進出していますが、ウズベキスタンでも、中東やアフリカ、ヨーロッパへの供給地として、自動車、繊維などの工場を展開する余地があります。

工業生産の状況については、JETROのレポートが参考になるので、ご覧ください。 https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2018/b1866ca3b26e44f7.html

留学生の増加

次に、留学生の増加について考えます。ベトナムやネパールからの留学生が急増していることは数年前から言われていましたが、2017〜2018年頃から、ウズベキスタン出身の留学生が急増したことが関係者の間では話題になりました。

日本学生支援機構(JASSO)が公開している外国人留学生在籍者数のデータを見ると、ウズベキスタンから大学・大学院への留学生数は383人(2016年)、441人(2017年)ときて、2018年には705人と一気に増加しています。日本語学校への留学者数を合わせた総数は、1,047人(2017年)だったのが、2018年には2,132人を突破しており、日本語学校への留学者数の増加が顕著です。

ベトナム(留学生総数72,354人/2018年)と比べるとまだウズベキスタン出身留学生の割合は少ないですが、タイ(3,962人)やマレーシア(3,094人)と並ぶような日本留学の送り出し国となる可能性があります。

日本語学校への留学は、実質出稼ぎ労働の斡旋をしているような学校の問題もあり、なかなかビザが取りにくくなっていると言われているので、一時的に日本語学校への留学者数は減る可能性もあります。ただ、ウズベキスタン側は海外留学を支援する奨学金基金(El-yurt umidi)を創設するなどしており、日本への留学者数は今後も増え続けるでしょう。

まとめ(将来発生する「ウズベク人問題」に備えて)

ウズベキスタンを、ごく限られた視点ですが東南アジアとの比較で考察してみました。
今後、東南アジア諸国と同様に経済成長し、日本との関係も深まるとなればバラ色の未来があるような感じがしますが、一方で問題も発生してくるでしょう。

例えば、急増したベトナム人やネパール人の技能実習生の問題(受入企業の劣悪な労働環境や失踪)、東京福祉大学の外国人研究生「行方不明」問題などです。こういった外国人労働者、留学生の問題が起こった時に、これまでは中国、ベトナム、ネパールなどの国名が報道ではあがっていましたが、この中に「ウズベキスタン」が加わる日も近いでしょう(なお、ウズベキスタンも技能実習生の送り出し国です)。

実際に、日本に住むウズベキスタン国籍者が、不法滞在や窃盗で逮捕されるニュースもちらほらと聞くようになりました。

またこれはフィクションですが、ウズベキスタン出身の技能実習生らが主要な登場人物となるミステリーが「文芸カドカワ」連載されているようです。ミステリーなので設定上必要だったのかもしれませんが、ベトナム人でもネパール人でもなく、ウズベキスタン人というのが象徴的なような気がします。

移民国家・日本を舞台に新・直木賞作家が放つ壮大なミステリ!【新連載試し読み 真藤順丈「ビヘイビア」】 | カドブン

ウズベキスタンをよく知る人やネットワークのある人は、「かれらは親切でお互いよく助け合うから、日本でも穏やかに暮らすだろう」などとつい思ってしまいがちです。しかし、彼らだけ特別なんてことはありません。いつかどこかの地域で、「ウズベク人問題」が発生する日も来るでしょう。

そんな時に備えて、過去に学び、在日ウズベキスタン人が適切なサポートを受けられる体制ができることを願いますし、筆者もウズベキスタンに縁がある人間の一人として、できることがあれば力を尽くしたいと考えています。

2018年9月30日日曜日

”SDGs”(持続可能な開発目標)を知るためのリンク集

SDGsとは

SDGsとは、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略で、国連が2030年まで世界各国での達成を目指して掲げている目標リストのことです。

以前はミレニアル開発目標(MDGs)というものがあり、特に開発途上国が達成すべき目標として掲げられていました。MDGsは2015年までの目標であったため、その後継として作られたのがSDGsです。SDGsは、開発途上国だけでなく、先進国も含む各国が達成すべき目標として掲げられていることが大きな違いです。

SDGsは国際機関、各国政府、NGO、教育機関、企業までもが標語として据え、様々な取組を開始しています。

ここでは、SDGsをこれから知ろうとする時に参考になりそうなウェブの情報源を紹介します。

SDGsを知るためのウェブサイト

Sustainable Development Goals website

まずは本家本元、国連による公式ウェブサイト。とりあえず公式情報を見たい時はここを確認しましょう。残念ながら日本語版はありません。

Sustainable Development Goal indicators website

国連統計局によるSDGs関連のデータソースです。進捗状況を数値で見たいときにはこちらでしょう。

SDGs Index & Dashboard

学者らによる報告書を公開しているサイト。毎年発行される"SDG Index and Dashboards report"は、各地のSDGs達成状況についてのかなり詳細なレポートとなっているので、一度は見ておいた方がいいでしょう。

SDGs(持続可能な開発目標)17の目標&169ターゲット個別解説(イマココラボ)

SDGsの17目標とそれぞれの目標に関連するターゲットが日本語で解説されています。17の目標しか書かれていない情報ソースが多い中で、ターゲットまで書かれているのは便利です。

首相官邸 SDGs推進本部

SDGs推進本部は首相官邸に置かれているようです。日本政府のSDGsに関する方針や公式情報を確認したい時はこちらを見るといいでしょう。

Japan SDGs Action Platform(外務省)

日本の外務省が運営するSDGsのページ。首相官邸のページよりは外向けで見やすくなっています。総務省や環境省、JICAなどによるSDGsのページにもここの「関連リンク」から飛べます。

外務省×SDGs Twitter

外務省のSDGs専用のTwitterアカウント。主に日本国内のSDGs関連イベントなどの情報発信がされています。

まとめ

以上、SDGsについて知ることができるリソースを紹介しました。筆者自身もまだまだ勉強中なので、他にいいソースを見つけたら随時更新していきます。

2018年5月14日月曜日

ウズベキスタンではなぜシボレー車が多いのか

中央アジアの国・ウズベキスタンへ入国して驚きを感じることの1つは、「走っている自動車のブランドが全然違う」ことではないでしょうか。日本とはもちろん、カザフスタンなど国境を接する隣国とも、走行している車の印象が全然違うのです。

その理由が、シボレー車の圧倒的シェアです。あくまで体感ですが、走っている車のうち、8割以上はシボレーブランドの自動車と思われます。トヨタやホンダなんてほとんど見かけません(隣国カザフスタンはトヨタだらけなのに)。しかも白い車体ばかりです。

首都タシケントの中心部。写っている車はすべてシボレー車


なぜシボレーはウズベキスタンで人気なのでしょうか。

気になったので、少し調べてみました。

シボレーとウズベキスタンの関係

シボレーは、アメリカの自動車メーカーGM(ゼネラル・モーターズ)が有するブランドです。日本ではあまり見かけませんが、全世界で展開されているブランドです。

GMがウズベキスタンへ進出したのは1996年。GM傘下の韓国の自動車メーカーGM大宇(Daewoo・デウ 、現在の韓国GM)が、ウズベキスタンの国策自動車会社(UZ Auto)との共同出資でUz-Daewoo-Autoという自動車ブランドを設立したことがきっかけです(公式サイトによると、登記自体は1993年、実際の稼働は1996年開始)。

半国有の自動車メーカーということで、輸入車よりも有利な条件で販売されていたと想像できます。ウズベキスタンはソ連からの独立後、漸進的に社会主義経済からの移行をしていたのです。

その後、GM大宇ブランドの廃止に伴い、2008年にUz-DaewooもウズベキスタンGMへと変わりました。いまでもDaewooのロゴ入りの車を見かけますが、多くはシボレーブランドのロゴに切り替わっています。

参考:http://gmuzbekistan.uz/companies/istoriya_razvitiya
https://en.wikipedia.org/wiki/GM_Uzbekistan

シボレー・ウズベキスタンのラインナップ

世界的ブランドのシボレーとはいえ、もともとがDaewooブランドだったこともあり、ラインナップもDaewooに準じています。現在のシボレー・ウズベキスタンが扱う車種は以下の通り。

Uzbekistan GM公式サイトより


基本カラーが白のためか、ほとんどが白い車体です。ときどき緑の車体を見ると「おっ」と思います。コンパクトからSUVまで、ひととおりそろっている感じです。

中でも面白いのが、Damas(ダマス)です。これは、かつてGMと提携関係にあったスズキのエブリィを基にした車種だそうで、その後DaewooおよびウズベキスタンGMで独自の進化を遂げました。

レトロというか、愛嬌がある顔立ちで、個人的には好きです。街中でも普通の乗用車や配達車として、よく見かけます。

ウズベキスタンのダマスについてレポートしている日本語記事(カーマニアでも走ってるクルマの名前が滅多にわからない! ウズベキスタンのクルマ事情 | 日刊SPA!)によると、現地のディーラーでも人気のようです。

さらに、GMウズベキスタンはRavonという新たなブランドを2015年に立ち上げました。これは特にCIS地域のローカルブランドだそうで、ロシアやウクライナ、カザフスタンなどに展開しています(UzDaily.com: New automobile brand Ravon presented in Moscow)。

まとめ

ウズベキスタンでシボレー車が多い理由についてまとめてみました。

前述のように、ウズベキスタンGMはRavonという独自ブランドで近隣地域に展開しようとしています。GM資本は入っていますが、独自ブランドで積極的に自動車生産・販売を行っているのは、中央アジアでもウズベキスタンだけでしょう。

なお、ウズベキスタンはISUZU のトラックやバスの生産も行っています。自動車生産は非常に盛んなのです。

ウズベキスタンは生産人口も多く、工場労働者の確保も容易でしょう。2016年に大統領が変わり、近隣諸国との関係改善を進めているところです。今後、ウズベキスタンの自動車産業がこの国の発展の鍵となる可能性が、大いにあります。

ウズベキスタンの今後の成長に関する考察は、別記事「ウズベキスタンは「次なるベトナム」となるか」をご覧ください。


2018年4月11日水曜日

日本でキルギス語を勉強するにはどうしたらよいか

キルギス語は、中央アジアのキルギス共和国を中心に話されている言語で、話者数は諸説ありますが500万人程度ではないかと言われています。専門家は現地の発音に合わせて「クルグズ語」と言うこともありますが、ここではより一般的な「キルギス語」と表記しておきます。キルギス語はテュルク系の言語に属しているため、トルコ語、カザフ語、ウズベク語などと文法や語彙の点で共通点が多いです。

そんなキルギス語を日本で勉強したい!という人は少ないと思いますが、 勉強したくなってしまった方を対象に、キルギス語の勉強方法を解説します。

授業・家庭教師

キルギス語は通常の語学スクールでは、まず教えられていません。
しかし、いくつか学べる可能性があります。

東京外国語大学のオープンアカデミー

東京外大の学生でなくとも授業が受けられる「オープンアカデミー」で、キルギス語の講座が開かれることがあります。2016年の8月に、3回の講義として開かれたようです。
2018年も開講される予定でしたが、残念ながら中止となったようです。申し込みが少なかったのでしょうか?

【A1804026】 キルギス語初級Ⅰ【開講中止】

東京(本郷)へ行ける人でないと参加はできませんが、講師のアクマタリエワ・ジャクシルクさんはキルギス語の専門家かつおそらくキルギス語ネイティブなので、費用対効果は高いでしょう。

東京外大のオープンアカデミーは毎夏開かれているので、来年もキルギス語が開講されることを願いましょう。

バークレーハウス語学センター

東京・市ヶ谷にある語学スクールで、キルギス語の講座があります。「受講者の声」があることから見て、実際に実績があるようですね。問題はレッスン単価です。安くても1回(55分)6,900円がかかります。主に、お金に余裕のある人や法人向けですね。

http://berkeleyhouse.co.jp/language/kyrgyz

キルギス人に教えてもらう

キルギス語を勉強したいと思う人は、たいてい何らかのきっかけでキルギスと関係があり、キルギス人の知り合いがいると思います。その知り合いを通じて、良い先生を紹介してもらえばよいのです。先生を見つけたら、他の語学と同じようにカフェや、Skypeを通じてレッスンをしてもらいましょう。

Skypeロシア語レッスンを活用

人件費の安いフィリピンなどの英語圏の人が格安で英語を教える「Skype英会話」が定着していますが、そのロシア語版があります。そしてフィリピン同様に人件費が安いキルギス人が講師をやっているサービスがあります。

話せるオンライン

基本はロシア語を教えるサービスなのですが、ロシア語を勉強する傍ら、キルギス語を教えてもらうのも不可能ではありません。私もこのサービスで少しだけロシア語を習いましたが、講師に「キルギス語も教えられるか?」と聞いたところ「できなくもない」と言っていました(結局時間切れで教えてもらいませんでしたが)。ただ、彼らの多くはロシア語教師であり、キルギス語教師ではありません。またキルギス人には「キルギス語が不得意」な人もいるので、誰もがキルギス語を教えられるわけではありません。

青年海外協力隊に応募する

これは裏技みたいな感じですが、青年海外協力隊に応募してキルギスへの派遣が決まると、派遣前にキルギス語の語学研修を受けることができます。いや、受けなければなりません。

青年海外協力隊は2年間、アジア、アフリカ、中南米などの開発途上国でボランティア活動をするプロジェクトです。配属先国は希望通りにならない場合が多いので、キルギスへ行けるとも限りません。

ただ、青年海外協力隊でキルギスの特に地方へ行った方は、非常にキルギス語ができるようになって帰ってきます。

教科書

授業を受けられれば教材は配られますし、先生がいろいろ紹介してくれると思います。ただ、独学が好きな人や、授業以上にもっと勉強したい、という場合もあるでしょう。そこでキルギス語の教科書を紹介します。とはいっても、日本ではもちろん、現地キルギスでも外国人向けのキルギス語教科書はあまり多くありません。その少ない選択肢の中から、いくつか紹介します。

1. 松下聖/スバゴジョエワ・アセリ/臼山利信「実践キルギス語入門」筑波大学グローバルコミュニケーションセンター(2017)

いきなりですが拙著です。筑波大学で「中央アジアの言語と文化」という科目が開設されており、その中で1学期だけキルギス語を主に教えることになり、授業テキストとして作成したものです。一般には販売されていません。筑波大学などいくつかの大学図書館に所蔵されています。

CiNii 図書 - 実践キルギス語入門

著者の一人である私はテュルク系言語の専門家ではありませんが、キルギスに数ヶ月間滞在している時にキルギス語を勉強したことから、この教科書を書くことになったのです。とはいえ、私だけでは書けないので、キルギス語ネイティブで言語学者・キルギス語教師のアセリさんにだいぶ助けてもらいました。

内容は、キルギス語を全く知らない人を対象に、キルギス語を学ぶ意義や文字、発音から解説しています。また、実際にキルギスでの生活で使う、重要な文法事項に絞った内容にしています。

これを使った独学も不可ではありませんが、説明が不十分な箇所もあるため、教えてくれる人が身近にいた方がいいでしょう。

あと、急いで作ったこともあり、間違いも割とあります。正誤表は必ず参照するように。正誤表が付いていない場合は、本書末尾に記載の著者にメールを送り、正誤表を取り寄せるように。

誰か私の後を継いでキルギス語教科書を作りたい、という意欲がある方がいれば、原稿や経験などいろいろと共有します。

2. ダウレトバエワ・ジャミリャー/ジョルブラコワ・マイラム「日本人継続学習者のためのキルギス語: Жапондор үчүн окуу китеби Кыргыз тили улантуучулар үчүн」(2017)


クラウドファンディングによって制作費を集めて作られた教科書です。初めはキルギス人向けの日本語教科書を作るために費用が集められたようですが、予想以上に集まったために日本人向けのキルギス語教科書も作られたとのこと。

この教科書は「すでにキルギス語の学習経験があり、キルギスでの留学や業務をする予定のある人」向けの教科書です。中身も、日本語での文法解説はほとんど無く、問題文もキルギス語で書かれています。

いきなりこの教科書で勉強するのは難しく、ある程度勉強を進めた学習者が、ネイティブのキルギス語の先生に教えてもらう時に使えると思います。

これも一般に販売されていないので、入手は難しいですが、Google Booksでサンプルが公開されているのでご覧ください。


3. 飯沼英三「キルギス語入門」ベスト社(1995)

日本語で書かれたキルギス語の教科書として、過去に販売された唯一のものでしょう。しかし、出版されたのは1995年と20年以上も前のこと(2001年に再版?されているようです)。入手しようと思っても、絶版になっており、見つけても中古で1万円以上はします。内容も古くなっているので、無理して入手する必要はないです。

ただ、キルギス語の概要をざっと日本語で知れる、というのは良い点です。いくつかの大学図書館には所蔵されているので、気になる人は教科書が所蔵されている図書館に足を運んでみると良いでしょう。

同じ著者の「キルギス語会話」という本もamazonで1万円以上で売られていますが、これは会話集とその音声のみが入っています。フレーズを繰り返して覚えたい場合には良いでしょう。


4. Bakytbek Tokubek uulu“Learn the Kyrgyz Language: Connecting with People and Culture”(2010)


英語で書かれたキルギス語の教科書ですが、日本語・ロシア語で書かれた教科書も含めて、これが外国人向けのキルギス語教科書の中では一番だと思います。300ページ以上あり、全てカラー。写真や図も豊富に使ってあり、非常に分かりやすいです。CDつきで、音声を聞きながらの学習もできます。

ただし、2010年出版のこの教科書も入手が困難になってきています。2016年夏にキルギスへ行った際には、ビシュケクの最も大きい本屋に在庫がありませんでした。2015年まではビシュケクの書店にもあったのですが……。少し前までアメリカのAmazonでも手に入りましたが、もう売られていません。

5. Э.Дж.Мамытова "Кыргызский для начинающих(初心者のためのキルギス語)"(2014)


ロシア語で書かれたキルギス語の教科書で、2014年に出版された比較的新しいものです。音声つきです。文法事項も網羅されており内容的には2の教科書と遜色ないのですが、素っ気ないんですよね。イラストは多少ありますが全て白黒で、写真もほとんどないです。英語よりもロシア語が得意でかつ「キラキラしたアメリカンな教科書より、ぶっきら棒な教科書の方が俄然やる気が出る」という嗜好の方は、こちらがいいと思います。

この教科書は現地へ行かないと買えないでしょう。もしかしたらロシアでも売っているかもしれません。

ちなみにキルギスではロシア語が「公用語」に指定されているので、キルギスへ行くならロシア語も勉強しておいた方がいいです。

6. Хулхачиева "Киргизский язык. Самоучитель(キルギス語独習)"(2017)


最近ロシアで出版されたキルギス語の教科書です。ロシア語をよく知っている人であれば、これで勉強してもよいでしょう。モスクワの大きな本屋さんなどで売っています。
体系的にまとまっていて良いのですが、やはりこの教科書も文字がびっしりで、イラストや写真は一切ないので、若干くらくらしてきます。白黒ではなく、2色刷りです。意欲がある方はぜひ。

なお、本書はロシアで出版された教科書なので、「キルギス語」の表記がキルギス風のКыргызскийではなく、Киргизскийとなっています。この違いはデカイです(わかる人にはわかる)。

辞書アプリ

言語を勉強する上で欠かせないのは辞書でしょう。キルギス語にも 紙の辞書はいくつかありますが、日本だと入手は難しいので、ウェブやスマホアプリの辞書を使うと便利です。

ウェブサイト(PC)

まず、PCで使える辞書サイトでは、次の2つがおすすめです。
  • Эл создук - キルギス語と、対ロシア語・英語・トルコ語の辞書が使えます。辞書だけでなくフレーズ集もあるので、発音を聴いて繰り返す練習もできます。使い勝手もいいですね。一番おすすめ。
  • Translatos - キルギス語と対ロシア語の辞書が使えます。ここの良いところは、キルギス語に近いウズベク語・カザフ語・トルクメン語の辞書も同じところで使えることです。中央アジアの言語をいくつか同時に勉強している人なんかには良いでしょう。

スマホアプリ

上で紹介したЭл создукのアプリバーションです。機能に差はないですが、スマホで使えるだけでも便利ですね。

他にも辞書アプリはあるようですが、私は使ったことがないのでここでは紹介しません。

なお、動詞に限った辞書であれば、キルギス語-日本語の辞書がAmazonで手に入るようです。

まとめ

以上、日本に居ながらキルギス語を勉強する方法をまとめました。

日本にあるキルギス大使館では、数年に一回「キルギス語スピーチコンテスト」なるものが開催されているようです。

第1回日本人キルギス語スピーチコンテスト 開催される - Blog Da
キルギス語スピーチコンテスト | berekenomura

学習歴やレベルは問わないようです。次回はいつ開催されるかわかりませんが、キルギス語を勉強したらぜひぜひ、参加してみてください!

2018年2月6日火曜日

カザフスタン初の仮想通貨「KZ CASH」とは


仮想通貨(暗号通貨)が580億円ぶん流出したり、大暴落したり、何かと話題になっています。そんな中、ほとんどの人が興味がないと思いますが、カザフスタンの仮想通貨事情について調べてみました。そこで見つけた「KZ CASH」について紹介します。

なお以前、仮想通貨について取り上げた記事はこちらです:野口悠紀雄『ブロックチェーン革命』:仮想通貨技術は世界を変えるか - Blog Da

この記事を書いてから、仮想通貨・ブロックチェーンについては、ぼんやりとウォッチし続けています。

KZ CASHとは

KZ CASH(KZC)は、「カザフスタンで開発された最初の仮想通貨」と謳われています。

公式サイト:https://kzcash.kz/

CEOは、Alibek Mahambetabiev (Алибек Махамбетабиев、アリベク・マハンベタビエフ)さん。

どんな素性か気になりましたが、英字表記で名前を検索しても、ほとんど情報は出てきません。ロシア語表記で調べたところ、次の記事が見つかりました。

В Казахстане запустили первую криптовалюту(カザフスタンで初めての暗号通貨が発行される)

写真に写っている人がアリベクさんです。

仮想通貨を発行する際には、開発の予定を示した「ロードマップ」が作成されるのが常とのことで、KZ CASHにもロードマップがあります。

Дорожная карта KZCash 2017-2018(KZ CASHのロードマップ)

これを見ると、2017年11月に取引所に上場し、2018年3月には世界TOP5の取引所に上場し、5月には世界100位、同6月には世界30位の仮想通貨を目指す、という野心的な計画が見て取れます。あまりに破竹の勢いすぎて、本気なのかどうか疑いたくなります。

KZ Cashの目的

仮想通貨には、それぞれ特性や作られた目的があります。例えば、Ripple(XRP)は、国際送金を媒介し、送金を低コスト・効率的にするのが大きな目的です。

KZ CASHについては、公式サイトのこちらのページに、その目的が書かれています。

https://kzcash.kz/en/17-introductuion

概要を書き出すと、次の通りです。
1.Crypto-ATMを作る
Bitcoin、Ethereum、Litecoin、そしてKZ CASHを購入、またはカザフスタンの通貨テンゲへ両替できるATMを作る。最初のATMはアスタナ・エキスポセンターに設置する。
2.中小ビジネスの決済に使う
中小ビジネス、特にサービス業の決済にKZ CASHを利用できるシステムを構築する。例えば、合法カジノなどの支払いに利用する。
ページ下段にも、補足的な説明がされています。ここを読むと、特に外国人観光客が使うことを想定していることが分かります。
Payment processing services will be provided in priority to hotels, restaurants and other companies in tourism, in order to make usage of KZ Cash overall and most comfortable for the guests of our Kazakhstan.
KZ CASH決済は、特にホテル、レストランや旅行会社によって使われる、とのこと。
前述の合法カジノの記述も合わせると、カザフスタン国民向けの通貨ではない、ということがよく分かります。

しかし、外国人観光客向けのホテルやレストランであれば、大抵クレジットカード決済で十分だし、もしBitcoinやLitecoinがカザフスタン国内で合法的に利用できれば、わざわざKZ CASHに変える必然性は少ないでしょう。

使われるとしたら、KZ CASHで支払いをすることによってホテルやレストランで割引サービスがあるだとか、地域通貨的な使い方のみとなるでしょう。それはそれで、観光振興に役立つので良いと思います。しかし、世界30位の仮想通貨になるだとかは、だいぶ大げさです。

購入方法

BTC Alphaというサイトで購入できるようです。

しかし、仮想通貨の相場の状況を確認できるCoinMarketCapというサイトで見ても、出来高はさっぱりのようですね。

https://coinmarketcap.com/currencies/kzcash/

時価総額ランキングでは1,315位(1,507通貨中)。1日の取引ボリュームは10,000~100,000USD(100万円~1,000万円)程度です。ビットコイン(BTC)は1日の取引が数千億円レベルなので、その足元にも及びません。

さすがに今年、世界30位の通貨となることは難しそうです。

買う人はいないと思いますが、購入は自己責任でお願いします。

まとめ

以上、カザフスタンの仮想通貨「KZ CASH」についてわかったことをまとめました。

KZ CASH自体は特にものすごい可能性を秘めた仮想通貨でもなさそうです。

ただ、カザフスタンは仮想通貨やブロックチェーンに対して非常に前向きな姿勢だというのは、現地メディアやロシア語メディアで度々取り上げられています。

最近では、カザフスタン・ブロックチェーン・暗号通貨協会という組織ができたようです。

КАЗАХСТАНСКАЯ АССОЦИАЦИЯ БЛОКЧЕЙНА И КРИПТОВАЛЮТ
(まだコンテンツは作成中らしいですが、近日中に公開されるとのこと。)

カザフスタンは2017年にアスタナ万博を開催し、万博の会場を金融センターとして活用することを計画しています。

先日、ロシアで仮想通貨の規制法が作られるという報道がありましたが、ロシアと関係の深いカザフスタンも、それにならって今年の早いうちに法整備がなされる見込みです。カザフスタンのような新興国家ほど、トップの意向次第で、こういった新しい技術の導入は早いということも言われます。

KZ CASHはともかくとして、カザフスタンでは今後、国家プロジェクトとして仮想通貨やブロックチェーンの領域で何らかの政策に取り組むものと見られます。この領域での、カザフスタンの今後には要注目です。

2017年11月28日火曜日

忘れられた「戦争」から100年:麻田雅文『シベリア出兵ー近代日本の忘れられた七年戦争』

2018年、日本が関係するとある「戦争」の開始からちょうど100年を迎えます。なぜカッコ書きの「戦争」か。その戦争は、公には「戦争」とは呼ばれませんでした。いまでも戦争とは呼ばれません。にも関わらず、異国の地で日本側だけでも3,000人を超える戦病死者を出し、かつソヴィエト連邦の成立という世界史の分岐点となったとも言える戦いだったのです。

そして今では、その「戦争」はそれほど顧みられることもないーそれが本書でまとめられている「シベリア出兵」です。


シベリア出兵とは

かつて存在した「極東共和国」の国旗

多くの人にとって「シベリア出兵」は、世界史、あるいは日本史の授業で聞いたことがある、くらいだと思います。有名な「シベリア抑留」とは全然別の話です。

本書では、シベリア出兵は次のように定義されています。
シベリア出兵は、ロシア革命の混乱に乗じ、1918(大正7)年に日本海に面したロシアの港町、ウラジオストクに日本を含む各国の軍隊が上陸して始まった。ウラジオストクからは、日本軍は22年に撤兵する。だが本書は、25年にサハリン島(樺太)の北部から日本軍が撤退するまで、足かけ7年に及んだ長期戦と定義する。
この経過を、おおざっぱにまとめます。

ロシア革命は、1917年の2月革命、10月革命を通じて、最終的にソヴィエト政権が樹立された一連の事件のことです。ここからかつてのロシア帝国の領土内では内戦が発生します。ソヴィエト側の赤軍と、その他の反革命勢力が争いを始めます。

その時、世界は第一次世界大戦の最中。連合国(イギリス、フランス、ロシアなど)と同盟国(ドイツ、オーストリアなど)が戦っていたところ、ソヴィエト新政府はドイツと単独講和(ブレスト=リトフスク条約)を結び、戦争を終えてしまいました。
イギリス、フランスはこれをよしとせず、ソヴィエト政府を倒して東部戦線を復活させることを狙います。そして日本とアメリカにも、ロシア内戦に介入し、ソヴィエト政府打倒の手助けをしてもらおうと頼みます。

日米はしばらく出兵を渋ったものの、結局、ウラジオストク上陸を皮切りに出兵を決行します。その後、日本は他の各国と協力して反革命勢力を支援したり、パルチザンと戦ったりし、結局バイカル湖周辺の地域まで進出します。

内戦はソヴィエト側が優位となり勝負の行方が見えた頃、他の各国は撤兵しますが、日本はなかなか撤兵せず止まっていました。それも22年には撤兵。日本軍の撤兵に合わせて、それまで日本軍との対決を避けるために存在していた極東共和国はソヴィエト政府に吸収され、その年の12月にソ連の成立が宣言される。

ただし、日本人の民間人が大量に殺害された「尼港事件」を口実に占領していた北サハリンについては、ソヴィエト政府との交渉がまとまるまでは留まり続け、25年に撤兵しました。

これがシベリア出兵のあらましです。

繰り返される「大義なき戦争」「内戦介入」

シベリア出兵は、「大義なき戦争」と言われています。

シベリア出兵での「大義」は、「チェコ軍団(※)の救出」というものでした。その大義はいつの間にか忘れ去られ、日本は極東でロシアの持っていた資源や権益奪取に走ります。そうしているうちに、だらだらと戦費をたれ流し、人命も失いつつも、当時入れ替わりの激しかった内閣は撤退を決断できず、結局7年間も戦争を続けてしまいました。

※チェコ軍団:第一次世界大戦時に、オーストリア=ハンガリー帝国からの独立を目指して組織されたチェコ人・スロヴァキア人からなる戦闘部隊。アメリカ経由で欧州へ向かうためウラジオストックへ向かっていたが、途中で反乱を起こしてソヴィエト政府と対立、シベリアで孤立する。

「大義なき戦争」は、現代まで幾度も繰り返されています。イラク戦争では、大量破壊兵器を持つフセイン政権の打倒が大義でしたが、結局大量破壊兵器は見つからず、大義はうやむやになっています。大義があれば戦争していいというものじゃないですが。またシベリア出兵の「内戦介入」という構図も、シリア内戦に見られるように、現代までも繰り返されています。

まとめ:再び極東に夢を見るか

一応ロシア関係の仕事をしている私も、本書を読んではじめてシベリア出兵の全体像をつかむことができました。

日本では、日本とロシアの争いの歴史を見る時、日露戦争、第二次大戦末期のソ連による侵攻やシベリア抑留ばかりが語られがちですが、その間にシベリア出兵があり、双方ともに多くの人命が失われたことを忘れるべきではありません(ロシア側の死者は8万人とも言われています)。

ここ数年、日露関係はやや改善の方向に動いており、平和条約の締結や北方領土問題の前進にわずかな希望が見えています。また極東地域の開発に、日本も及び腰ながらも乗り出そうとしています。

この動きに関わる人間は、シベリア出兵の歴史を抑えておく必要が、あると思います。

2017年9月20日水曜日

春秋戦国時代より面白い?:高口康太『現代中国経営者列伝』

上海
国民総生産(GDP)で中国が日本を抜き世界2位になったのが2010年。それから7年が過ぎ、日本では中国人観光客による「爆買い」が話題になるなど、経済の成長ぶりは誰もが知るところとなりました。

一方で、中国というと眉につばをつけて見る人も多いと思います。今の中国の成長は国の規模をバックにしたバブルでありハリボテであり、いつか必ず崩壊すると戦々恐々としている人もいるでしょう。

そうした中国 観を脇に置いて、読み物として楽しめるのが『現代中国経営者列伝』です。
本書は、急速に経済成長してきた中国で、その波に乗り成功を遂げた起業家8人の人物伝であり、そこから改革開放に始まり現代にいたる中国経済の躍動感が見えてきます。

紹介されている経営者

本書で紹介されている経営者は次の8人。
  • 柳傳志(レノボ)
  • 張瑞敏(ハイアール)
  • 宗慶後(ワハハ)
  • 任正非(ファーウェイ)
  • 王健林(ワンダ・グループ)
  • 馬雲(アリババ)
  • 古永鏘(ヨーク)
  • 雷軍(シャオミ)
この中で、日本でもよく知られているのは、レノボ、ファーウェイ、アリババでしょう。レノボは言わずと知れた世界的PCメーカーで、NECのPC部門を買収しました。ファーウェイはスマートフォンで日本市場でも勢いに乗っています。アリババは、2014年にニューヨーク証券取引所に世界最大規模の上場を果たし、またソフトバンクの孫正義氏と深い関係にあることでも経済紙を賑わせました。他の5社も、現代の中国経済を語る上では外せない存在となっています。

この8人が、いかにして起業し、その後の困難を乗り越えて今に至っているかが、一冊の中でコンパクトにまとめられています。 それぞれのエピソードは本で読んでいただくとして、ここでは面白かった点を1つ紹介します。

起業・事業スタートは40歳前後

彼らはいずれも、創業やメインとなる事業スタートは40歳前後のときでした。レノボの柳が前身となる北京計算機新技術発展公司の創業に加わったのは彼が40歳のとき。任がファーウェイを創業したのは43歳。馬によるアリババの創業は35歳の時です。

中国は社会主義国であったので、全てが国有企業でした。それが変わったのは1980年代から。こういった背景もあり、彼ら起業家は、もともとは国営企業や国立研究所、軍などに所属していました。そこから民間で企業し、急成長を遂げたのです。比較的若いシャオミの雷も、キングソフト勤務を経て、40歳で起業しています。

今では20代で起業する中国の若者もいるらしいですが、本書のストーリーを読んでいると、40前後になっても全く違う環境に挑戦できるという勇気がもらえるのではないでしょうか。

まとめ

彼らは今でも現役の経営者であり、現在進行形で困難・課題に直面しています。裏を返せば、まだそれだけ中国市場経済の歴史は浅く、今後も強烈なキャラクターでのし上がっていく経営者が現れる可能性が高いと言えるでしょう。

これからも現代中国の経営者から目が離せません。また、日本やアジアの若い世代が、こうした現代中国の辣腕経営者に「憧れ」、また参考にして起業することが増えてくるのではと思います。