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2017年9月20日水曜日

春秋戦国時代より面白い?:高口康太『現代中国経営者列伝』

上海
国民総生産(GDP)で中国が日本を抜き世界2位になったのが2010年。それから7年が過ぎ、日本では中国人観光客による「爆買い」が話題になるなど、経済の成長ぶりは誰もが知るところとなりました。

一方で、中国というと眉につばをつけて見る人も多いと思います。今の中国の成長は国の規模をバックにしたバブルでありハリボテであり、いつか必ず崩壊すると戦々恐々としている人もいるでしょう。

そうした中国 観を脇に置いて、読み物として楽しめるのが『現代中国経営者列伝』です。
本書は、急速に経済成長してきた中国で、その波に乗り成功を遂げた起業家8人の人物伝であり、そこから改革開放に始まり現代にいたる中国経済の躍動感が見えてきます。

紹介されている経営者

本書で紹介されている経営者は次の8人。
  • 柳傳志(レノボ)
  • 張瑞敏(ハイアール)
  • 宗慶後(ワハハ)
  • 任正非(ファーウェイ)
  • 王健林(ワンダ・グループ)
  • 馬雲(アリババ)
  • 古永鏘(ヨーク)
  • 雷軍(シャオミ)
この中で、日本でもよく知られているのは、レノボ、ファーウェイ、アリババでしょう。レノボは言わずと知れた世界的PCメーカーで、NECのPC部門を買収しました。ファーウェイはスマートフォンで日本市場でも勢いに乗っています。アリババは、2014年にニューヨーク証券取引所に世界最大規模の上場を果たし、またソフトバンクの孫正義氏と深い関係にあることでも経済紙を賑わせました。他の5社も、現代の中国経済を語る上では外せない存在となっています。

この8人が、いかにして起業し、その後の困難を乗り越えて今に至っているかが、一冊の中でコンパクトにまとめられています。 それぞれのエピソードは本で読んでいただくとして、ここでは面白かった点を1つ紹介します。

起業・事業スタートは40歳前後

彼らはいずれも、創業やメインとなる事業スタートは40歳前後のときでした。レノボの柳が前身となる北京計算機新技術発展公司の創業に加わったのは彼が40歳のとき。任がファーウェイを創業したのは43歳。馬によるアリババの創業は35歳の時です。

中国は社会主義国であったので、全てが国有企業でした。それが変わったのは1980年代から。こういった背景もあり、彼ら起業家は、もともとは国営企業や国立研究所、軍などに所属していました。そこから民間で企業し、急成長を遂げたのです。比較的若いシャオミの雷も、キングソフト勤務を経て、40歳で起業しています。

今では20代で起業する中国の若者もいるらしいですが、本書のストーリーを読んでいると、40前後になっても全く違う環境に挑戦できるという勇気がもらえるのではないでしょうか。

まとめ

彼らは今でも現役の経営者であり、現在進行形で困難・課題に直面しています。裏を返せば、まだそれだけ中国市場経済の歴史は浅く、今後も強烈なキャラクターでのし上がっていく経営者が現れる可能性が高いと言えるでしょう。

これからも現代中国の経営者から目が離せません。また、日本やアジアの若い世代が、こうした現代中国の辣腕経営者に「憧れ」、また参考にして起業することが増えてくるのではと思います。