(ウズベキスタン・サマルカンドの「Tourist Police」)
アジアで経済が急成長し、日本との関係も活発な国といえば、まずベトナム、マレーシア、インドネシアといった国を挙げる人が多いでしょう。そんな中、もう1つ、ベトナム並…とまではいきませんが、今後経済の成長や日本との交流の活発化が予想される国、「ウズベキスタン」について考察します。
ウズベキスタンとは
ウズベキスタンは中央アジアに位置する国で、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタンに囲まれた内陸国です。海に出るためには2つ以上の国を通過しなければならない「二重内陸国」です(二重内陸国は世界に2カ国しか存在しない)。
最近は前田敦子さん主演の映画「旅のおわり世界のはじまり」の舞台にもなり話題を読んでいます。
「旅のおわり世界のはじまり」公式サイト
ウズベキスタンのあたりは地理的に東西を結ぶシルクロードの交易の要塞として栄えた地域で、歴史を勉強した人であれば「サマルカンド」「ティムール朝」などといったキーワードを聞いた人も多いでしょう。この地域では、歴史上、多くの国が勃興していきました。
20世紀に入りロシア革命が起こると、ロシア帝国の支配を受けていたウズベキスタンでも共産党政権が成立し、ソビエト連邦の一共和国としてウズベク・ソビエト社会主義共和国が成立します。その後、1990年代に入るとソ連崩壊に伴い独立し、現在のウズベキスタンとなりました。
独立後のウズベキスタンでは、初代大統領のカリモフ氏が長らく強権的な政権を維持してきましたが、2016年にカリモフ氏の死去に伴い新大統領のミルジョエフ氏に変わると、社会・経済の改革が進められるようになりました。
ウズベキスタンの歴史や概要については、以下の書籍を読むと理解が進みます。
人口増加
ここからが本題です。ウズベキスタンの現状を、ベトナムなど東南アジア諸国と比較しながら考察していきましょう。
まずは人口です。ウズベキスタンは中央アジア諸国の中でも最大の人口規模を有し、現在の人口は約3,200万人(2018年)。ベトナムは9,000万人以上なので多くは見えませんが、マレーシアの人口も約3,200万人と同じくらいです。
ウズベキスタンでは人口増加が顕著で、合計特殊出生率は2.46(2016年)。これは、日本で第一次ベビーブームのなごりが残っていた1950年代の水準に近いです。いわゆる「人口ピラミッド」は日本の高度経済成長期のようなピラミッド型になります。なお世界人口基金によると、2050年にはウズベキスタンの人口は4,000万人を突破すると見込まれています。
経済成長
ウズベキスタンのGDP(国内総生産)は433億ドル(2018年)で、世界94位。経済規模は確かにそれほど大きくありません。ウズベキスタンよりも人口が少ない隣国カザフスタンのGDPよりも少ないです。人口規模が同じマレーシアにも到底敵いません。
当然、一人あたりGDPもさほど高くはありませんが、実はちょうどベトナムの一人あたりGDPと同じくらいです。そして一人あたりGDPの推移を時系列で比較すると、ウズベキスタンとベトナムはまさに同じような値を推移してきています。
今後、ウズベキスタンとベトナムのどちらが成長のピッチを速めるか、このグラフは見モノと密かに注目しています。
ウズベキスタンの経済で今後注目できるのは「観光」、「工業生産」だと考えています。ウズベキスタンは日本国籍者などの入国ビザを免除するなど観光立国を目指しており、観光客は2018年1~9月期で390万人で、2017年同時期に比べ2倍に増加しました(ジェトロ短信より)。
また、工業生産については、過去記事「ウズベキスタンではなぜシボレー車が多いのかでも紹介したように国内にGM系列、ISUZUなどの自動車工場を抱えています。ベトナムでは日本企業の工場が多数進出していますが、ウズベキスタンでも、中東やアフリカ、ヨーロッパへの供給地として、自動車、繊維などの工場を展開する余地があります。
工業生産の状況については、JETROのレポートが参考になるので、ご覧ください。
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2018/b1866ca3b26e44f7.html
留学生の増加
次に、留学生の増加について考えます。ベトナムやネパールからの留学生が急増していることは数年前から言われていましたが、2017〜2018年頃から、ウズベキスタン出身の留学生が急増したことが関係者の間では話題になりました。
日本学生支援機構(JASSO)が公開している外国人留学生在籍者数のデータを見ると、ウズベキスタンから大学・大学院への留学生数は383人(2016年)、441人(2017年)ときて、2018年には705人と一気に増加しています。日本語学校への留学者数を合わせた総数は、1,047人(2017年)だったのが、2018年には2,132人を突破しており、日本語学校への留学者数の増加が顕著です。
ベトナム(留学生総数72,354人/2018年)と比べるとまだウズベキスタン出身留学生の割合は少ないですが、タイ(3,962人)やマレーシア(3,094人)と並ぶような日本留学の送り出し国となる可能性があります。
日本語学校への留学は、実質出稼ぎ労働の斡旋をしているような学校の問題もあり、なかなかビザが取りにくくなっていると言われているので、一時的に日本語学校への留学者数は減る可能性もあります。ただ、ウズベキスタン側は海外留学を支援する奨学金基金(El-yurt......
Home
Posts filed under ウズベキスタン
2019年8月4日日曜日
2018年5月14日月曜日
ウズベキスタンではなぜシボレー車が多いのか
中央アジアの国・ウズベキスタンへ入国して驚きを感じることの1つは、「走っている自動車のブランドが全然違う」ことではないでしょうか。日本とはもちろん、カザフスタンなど国境を接する隣国とも、走行している車の印象が全然違うのです。
その理由が、シボレー車の圧倒的シェアです。あくまで体感ですが、走っている車のうち、8割以上はシボレーブランドの自動車と思われます。トヨタやホンダなんてほとんど見かけません(隣国カザフスタンはトヨタだらけなのに)。しかも白い車体ばかりです。
首都タシケントの中心部。写っている車はすべてシボレー車
なぜシボレーはウズベキスタンで人気なのでしょうか。
気になったので、少し調べてみました。
シボレーとウズベキスタンの関係
シボレーは、アメリカの自動車メーカーGM(ゼネラル・モーターズ)が有するブランドです。日本ではあまり見かけませんが、全世界で展開されているブランドです。
GMがウズベキスタンへ進出したのは1996年。GM傘下の韓国の自動車メーカーGM大宇(Daewoo・デウ......
登録:
投稿 (Atom)