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2018年4月29日日曜日

PowerAppsで作るアプリ例 (1):学生情報検索アプリ


Microsoftは、モバイルアプリをプログラミング不要で数分で作れてしまうPowerAppsというサービスを提供しています。
では、このPowerAppsでどんなアプリが作れるのか、実際に作ってみた例を紹介します。

この記事では手順を1つ1つ詳細までは解説しません。あくまでアプリの作例とその大まかな構造を紹介することで「こんな感じで、こんな簡単に作れる」ということを分かっていただければと思います。

概要

今回作ったのは、学生情報検索アプリです。私の職場は大学で、学生の交換留学プロジェクト(大学全体の交換留学ではなく、特別プログラム)を担当しているので、海外へ送り出した学生と、日本へ留学に来た学生をそれぞれ管理するアプリが欲しいと思い、作ってみました。

表側の構造

アプリの見える部分(表側)構造は、次のようになっています。
  • トップページ
  • 派遣学生管理ページ
  • 派遣学生新規追加フォーム
  • 受入学生管理ページ
  • 受入学生新規追加フォーム
それぞれ、実際の画面と機能を見ていきましょう(表示されている情報はダミーデータです)。

トップページ



派遣学生・受入学生管理ページへそれぞれジャンプするボタンがあるだけです。

派遣学生管理ページ


名前、派遣先国、連絡先などで検索できます。情報は右側に表示され、保存・削除ができます。 また、右上「+」のボタンから新規追加できます。

派遣学生新規追加フォーム


新たな学生の情報を登録できます。

受入学生管理ページ


名前、出身国、連絡先などで検索できます。情報は右側に表示され、保存・削除ができます。 また、右上「+」のボタンから新規追加できます。

受入学生新規追加フォーム


新たな学生の情報を登録できます。

裏側の構造

表側(見える部分)の構造を紹介しましたが、では、裏側はどのような仕組みになっているのでしょうか。

PowerApps編集ソフト(ブラウザ版)で、裏側の構造を確認してみましょう。



表側のそれぞれの画面に対応した画面が作成されています(Welcome, Inbound, Outbound, InboundEdit, OutboundEdit)。作りたい画面=構造です。わかりやすいですね。初期状態では1枚しか画面がないので、作りたい画面の分だけ、新たに作成する必要があります。

派遣学生管理ページを例にして、その中がどういう構造になっているか紹介します。
左側の「画面」の「Outboundlist」を展開すると、その画面に含まれる様々なパーツのリストが表示されます。


このアプリで重要なのは、 1.学生情報を一覧表示する左部分(Outboundlist)と、2.その内容を表示し編集ができる右部分(Form2_2)です。この2つはそれぞれデータベースに接続され、データの読み書きがなされる部分です。

1.Outboundlistは、「ギャラリー」というパーツです。これは「挿入」メニューから追加できる要素で、あらかじめ何種類かデータ表示方法のテンプレートがあり、その1つです。2.フォームも「挿入」メニューから追加できます。

他は、検索窓、他のページへのジャンプボタン、保存ボタン、削除ボタンがあり、それぞれ関数を付け加えると機能を果たすようになります。

データベース

学生の情報が出てくるということは、データベースがあるはずです。このアプリの場合は何を使っているかというと、Office365のOneDriveです。

OneDriveに学生の情報を蓄積するExcelファイルを保存し、そことPowerAppsを繋げているのです。

ファイルの保存先はOneDriveでなくとも、DropboxなどPowerAppsが連携可能なストレージサービスやデータベースであれば接続が可能です。

まとめ

PowerAppsを使ったアプリの例とその構造を紹介しました。

このアプリを作る難易度ですが、機能自体はシンプルなので「Excelの関数が使える(苦手じゃない)人であれば作れる」程度だと思います。ただ、はじめてだと手間取る部分が多いはずです。慣れれば2−3時間くらいで作れるでしょうね。

例として「学生情報の管理」アプリとしましたが、これとほぼ同じ構造で、顧客管理や在庫管理アプリなどが作れるでしょう。

今後もPowerAppsを使ったアプリ実例は、不定期に紹介していきたいと思います。

PowerAppsの入門書もぼちぼち登場しています。


※個人情報をExcelに入れてクラウドストレージ上に置くのは、職場によっては情報管理規定に反する可能性があります。私の職場もそのおそれがあり、アプリは実運用していません。

2017年10月5日木曜日

Access App廃止でPowerAppsに一本化:2つの違いは?

Access Web Appとは?

Accessとは、Microsoftが提供しているデータベースアプリケーション作成ソフトです。Access Web App(以下、Access App)は、普通はデスクトップ(ローカル)で使われるAccessを、クラウドサービスのOffice365で利用できるようにしたサービスです。

普通のAccessは、基本的にローカルのパソコンで使うアプリケショーンのため、サーバー上で様々なパソコンやモバイルデバイスから利用するには厄介な仕様でした。それがAccess Appでは、はじめからクラウド上に簡単に設置できるようになりました。できること、機能は通常のAccessには劣りますが、クラウド化に合わせた進化と思われました。

しかし、そのAccess Appは、2018年4月をもってサービス停止が発表されました。そしてMicrosoftの提供するクラウドで使えるデータベースアプリケーションは、PowerAppsに一本化されることになりました。

Updating the Access Services in SharePoint Roadmap

PowerAppsとは?

PowerAppsについては、別の記事を書いています(業務用モバイルアプリが数分で作れるMicrosoftのPowerAppsを使ってみた)。PowerAppsとは、この記事で紹介しているように「モバイルアプリをプログラミングなしでさくっと作れてしまう」ウェブサービスです。モバイルアプリでは様々なデータベースに接続できるため、データベースアプリケーションの一種と言えます。

Microsoftは「マイクロソフトでは、多くのお客様が Access のカスタム Web アプリをご利用になっていることを認識しており、PowerApps への移行をできるだけスムーズに実施できるように努めています。」としています。しかしAccessとPowerAppsには、その設計思想や適正、特性に大きな違いがあり、そのまま置き換えることは容易ではないと思われます。それを次にまとめます。

Access AppとPowerAppsの違い

Access AppとPowerAppsを両方とも使って簡単なアプリを作った経験から、2つの違いをまとめてみます。

1. PCファーストとモバイルファースト

Access Appは基本的にPCのウェブブラウザで使うことをターゲットにしたアプリケーションでした。対してPowerAppsは、完全にモバイルファーストです。2つのアプリの画面を比べてみましょう。

まず、こちらがAccess App(ビデオ: Access Web アプリを作成する - Access - Office Supportからの引用)。



次に、こちらがPowerApps。


見た目からしてもPowerAppsがモバイル向けだとわかると思います。またPowerAppsにはAndroid、iOSアプリがあり、スマートフォン、タブレット上で動作させることができます。

一方でPC上でも動かすことはできますが、表示はスマートフォン、タブレットと同様で、PCの画面上、しかもマウスだと正直操作しづらいです。PCでの利用であればAccess Appの方が上でした。

2. データソース

Access Appでは、データソースは1つだけ、つまりAccess専用のデータベースしか使えませんでした。一方のPowerAppsは、様々な外部データベースと接続して利用ができます。SharePointリスト、SQLサーバー、Salesforce、さらにはDropboxやOneDriveに保存されたExcelシートまでデータソースとして使えます。

これにより、様々なデータソースと柔軟に組み合わせたアプリケーションを作れます。その点はPowerAppsの一番面白いところだと思います。Accessでアプリを作るには、「データベースとは何たるか」を多少はかじってないといけませんでした。ところがPowerAppsでは、Excelでリストさえ作れば、3分でアプリケーションができてしまうのです。

3. Office365内での連携

Access AppもOffice365で使うようになってましたが、あくまでAccessは個別の機能で、他のOffice365アプリとの連携はほぼありませんでした。PowerAppsはOffice365の中にしっかりと組み込まれ、様々なアプリと連携できます。

例えばFlow。Flowは、ワークフローを自動化「ハブサービス」の未来は?で紹介したZapier、IFTTTのような、ハブサービスです。これを使えば、PowerAppsと様々な外部アプリと連携して、「PowerAppsでSharePointリストにデータを追加したら、その内容をメールで○○へ送る」といった自動ワークフローを作成できます。

違う例ではTeams。Teamsはチャットコミュニケーションのアプリですが、これに「タブ」という機能があります。チャネル(チャットグループのこと)に関連するアプリやファイルをタブにして埋め込めるという機能です。このタブに、PowerAppsアプリを埋め込めます。なので、チームでよく使うアプリにはすぐにアクセスできます(ただし、タブを切り替えるために再読み込みするので、若干イライラする)。

こんな風に、最初からOffice365での連携を前提に作られているのがPowerAppsです。

その他

この他にもAccess AppとPowerAppsには多くの違いがあるので、詳しいところは実際に使ってみるか、MicrosoftがAccess Appの開発者向けに作成したホワイトペーパーを参照してください。

Introduction to Microsoft PowerApps for Access web apps developers

PowerAppsは本当に使えるのか?

前回の記事でも問いましたが、PowerAppsは本当に「使える」のか?という疑問は、依然としてあります。

確かに面白い機能はいっぱいあり、ものの数分でモバイルアプリが作れる(しかもExcelをデータベース代わりにして…笑)のは驚きです。

しかし、だがしかし・・・動作が若干もっさりとしていることと、PCで扱いづらいこと、この2つが特にひっかかり、本当に「使える」サービスなのかどうか、微妙なところだと思います。少なくとも、AccessやAccess Appの置き換えにはならないでしょう。

モバイルで活用したく、またOffice365内での連携が不要であれば、Kintoneなどを使ってもいい気がします。Kintoneも、データベースアプリケーションを手軽に作れるサービスで、日本のサイボウズという会社が提供しています。

PowerAppsについてはまだ日本語情報が少なく、そのためか当ブログにもPowerAppsを調べて来る人がそれなりにいるようです。いまはまだ難ありですが、PowerAppsの今後の発展には期待したいところです。今後も動向を追ったり、サンプルアプリを作ったりしてみようと思います。

PowerAppsの入門書もぼちぼち登場しています。


【更新(2018.4.29)】サンプルアプリを紹介しています:
PowerAppsで作るアプリ例 (1):学生情報検索アプリ

2016年11月18日金曜日

業務用モバイルアプリが数分で作れるMicrosoftのPowerAppsを使ってみた

PowerAppsとは?


2016年11月1日、Microsoftが新たなサービス「PowerApps」を一般公開しました。すでに昨年12月に発表し、プレビュー版が使えていましたが、ついに一般公開されました。
このPowerApps、一言でいうと「モバイルアプリをプログラミングなしでさくっと作れてしまう」サービスです。 特に「業務用」のアプリに特化しています。

これまで、業務でモバイルアプリを使いたい時は、既成のアプリを使うか、莫大なコストを払って制作するしかありませんでした。そして、大抵の場合は前者です。

しかし、既成のアプリだと現場のニーズに合わない、ということも多々、生じます。かといってモバイルアプリを制作するとなると、技術者が必要ですし、外注すれば数百万は吹っ飛びます。

PowerAppsは、そんなジレンマを解消し、現場のニーズに応えて、さくっとモバイルアプリを作れてしまう、一見して魔法のようなサービスです。

使い方は?

いろいろな使い方ができるようですが、ここでは最も簡単な使い方を紹介します。
使う前に、登録が必要です。登録は公式サイトよりお願いします。

1. 接続する

PowerAppsの特徴は、Onedrive、ExcelといったMicrosoftのサービスだけでなく、外部の様々なサービスと連携させられる、という点です。

連携サービスは、Dropbox、Salesforce、GoogleDrive、Facebook、Twitterなど多岐に渡ります。さらに「オンプレミス」、いわば自前のデータベースに接続することもできるようです。

PowerAppsを開くと、左のメニューに「接続」というメニューがあります。そこで、連携させたいサービス、つまりデータソースがある場所を選び、連携させましょう。

2. WebまたはWindowsのPowerAppsでアプリを設計

次に、アプリを作ります。メニュー左下の「新しいアプリ」というボタンをクリックします。



Windowsの場合はダウンロードできるソフトがあり、Web版もあります。Windowsならダウンロードすることをお勧めします。



「新規」の画面から、連携させたいサービスを選び、(必要な場合は)指定するファイルなどデータソースを選びます。例ですが、Onedriveに保存したExcelファイルをデータソースとして指定することができます。



で、この段階で、もう自動でアプリが出来上がっています。この例だと、名前、所属などが項目として記載されたExcelのデータシートをもとに、アプリの画面が自動生成されました。新規作成、編集、検索などの機能がもともと備わっています。


このままでも良ければすぐに使えますし、カスタマイズもできます。
アプリができたら、保存しましょう。

3. PowerAppsアプリで起動する

PowerAppsは、モバイルアプリとして使われます。PCでも使えるのですが、モバイルに最適化されているので、どうも奇妙な感じになります。

タブレットやスマホで使うには、AppstoreやGoogle Playから、PowerAppsのアプリをダウンロードします。

ダウンロードしたアプリを立ち上げてログインすると、作ったアプリが出てきます。

これでもう、モバイルアプリの完成です。オリジナルアプリをホーム画面に設置することもできます。

どんなものが作れるか

ではこのPowerAppsを、どんな場面で使えるのか、私の職場である大学を例に考えてみました。

例1. 連絡先検索

学生や教職員の連絡先は、既存のなんらかのシステムがあるかもしれません。それ以外の、学外の関係者、外注業者などの連絡先も、研究室や部署内で管理したい時があるでしょう。

PCならExcel管理でもいいと思いますが、操作性が悪いですよね。

PowerAppsを使えば、Excelのリストをもとに、ものの数分で連絡先検索のアプリを作れてしまいます。

【更新(2018.4.29)】実際の活用例を書きました:PowerAppsで作るアプリ例 (1):学生情報検索アプリ

例2. 教室予約システム

教室予約ができるアプリは、需要がありそうです。教室の広さ、座席数など基本情報とできれば写真をのせたカタログを作っておき、1クリックで予約ができるようにする。

Microsoft Flowというサービスを組み合わせれば、承認/非承認のフローも効率化できそうです。

巨大な大学だと、どの教室がどんな教室か分からないので、それぞれの担当部署に電話して聞かなければいけません。予約の方法も場所によって違っていて、電話で申請するところ、書類を提出するところ・・・とバラバラだったりします。

ちなみに同じMicrosoftにBookingsという予約管理サービスがあるようです。こっちを使った方が楽な気がします。

例3. 実験のデータ記録送信アプリ

授業での活用法も考えてみました。私は理科系のことはあまり知りませんが、様々な実験データの記録に使えるのではと思います。 アプリ内にカメラ機能も埋め込めるようなので、写真とともにデータを送信するアプリなど、使えそうです。

結局、PowerAppsは「使える」のか

場合によりけり、だと思います。大学での活用法を考えてみましたが、正直、なかなか思い浮かびませんでした。というのも、大学では外回りの営業みたいな仕事は少ないですし、スマホやタブレットよりも、PCに最適化されていた方が良いです。タブレット、スマホ、PC全てでレイアウト調整してくれたらいいのにな、と思います。

また、PowerAppsのアプリを試してみましたが、起動が遅く感じました。オリジナルアプリを立ち上げるまでに、まずPowerApps→次にオリジナルアプリと2回のステップがありますが、その度に待ち時間があって、ちょっとイラっとします(※ホーム画面にオリジナルアプリへのショートカットを設置することはできます)。起動までが、もっさりもっさりです。もっとサクサク動いてほしいところです。

文句を書いてしまいましたが、モバイルアプリがものの数分で出来てしまったのには、正直感動しました。店舗、工場、グラウンドなど、PCを持ち込みづらい場所で活躍するのではと思います。今後の発展に期待、といったところです。

PowerAppsの入門書もぼちぼち登場しています。


続編書きました: