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2017年1月13日金曜日

モルドバ知るために読んだ方がよさそうな本

画像:wikipediaより

ウクライナを知るために読んだ方がよさそうな本を書きましたが、実は同じ出張でモルドバへも行きます。モルディブではなく、モルドバです。ウクライナの隣にある、ヨーロッパの国です。モルドバに関する本も、紹介します。

概要

  • 六鹿 茂夫 (2007)『ルーマニアを知るための60章 エリア・スタディーズ』明石書店
モルドバなのに何でルーマニアなのという感じですが、モルドバ人とルーマニア人は同じ民族といってもよいのです。言語もかつては「モルドバ語」と言われていましたが、今では「ルーマニア語」に統一されています。このため、ルーマニアとモルドバの統合論もたびたび浮上します(今のEUとロシアの関係を見ると、しばらくは実現しないと思いますが)。モルドバへ行くにあたっては、ルーマニアのことも知っておいたほうがいいです。


歴史

  • 柴 宜弘 編(1998)『バルカン史 (世界各国史)』山川出版
「バルカン」といえば、バルカン半島の 旧ユーゴスラビア(スロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア、モンテネグロ、マケドニア)あたりを思い浮かべるでしょう。この本ではルーマニア・モルドバもバルカンの歴史に組み込まれて語られています。ウクライナの記事で紹介した『ポーランド・ウクライナ・バルト史 (世界各国史) 』と同じシリーズですが構成はちょっと違っていて、各国ごと独立させた項目はほとんどなく、時代ごとに地域全体の歴史が語られています。「モルドバの歴史だけ読みたい」というニーズを満たすのは難しいですが、地域全体の歴史を俯瞰できることがメリットです。


  • 黛 秋津(2013)『三つの世界の狭間で ―西欧・ロシア・オスマンとワラキア・モルドヴァ問題―』
未入手のため、中身を読めていません。本格的な歴史書のようです。amazonの紹介文には次のように書かれています。
世界史の「見えざる焦点」、そこでは何が起こっていたのか------。西欧・正教・イスラームの三つの世界が接する境域地帯に視点を定め、近代へと移行していく複雑な「世界の一体化」プロセスを、政治外交面から、多言語の一次史料に基づいてつぶさに描き出した、世界的にも稀有な労作。
中世から近代の歴史を深く掘り下げたい場合は、この本を読むとよいでしょう。


現代

現代のモルドバのみについてのまとまった本は、日本語では残念ながらありません。
ウクライナ・ベラルーシと併せて経済を解説した書籍はあります。
  • 服部 倫卓(2011)『ウクライナ・ベラルーシ・モルドバ経済図説』 ユーラシア・ブックレット, 東洋書店
amazonだと値段が跳ね上がっていますが、これは出版元の東洋書店が倒産して絶版になってしまったからです。もともとは定価1,000円もしない、薄い本ですのでご注意。著者のウェブサイト・ブログは非常に充実しているので、むしろモルドバ経済の最新情報はそちらを見たほうがいいかもしれません。


モルドバといえば、未承認国家「 沿ドニエストル共和国(トランスニストリア)」の問題があります。これはソ連末期に、ロシア人住民が多いこの地域がモルドバからの分離独立を宣言し、その後モルドバとの間で戦争となり、停戦となったものの現在まで事実上の独立状態が続いている、という問題です。
「 沿ドニエストル共和国」については、旧ソ連地域やロシアの国際関係を扱った本に記述があります。

例えば次の書籍。
  • 廣瀬 陽子(2008)『強権と不安の超大国・ロシア~旧ソ連諸国から見た「光と影」』光文社新書
アゼルバイジャンなどコーカサス地域の話がメインなのですが、沿ドニエストル問題についても書かれています(著者が当地に「入国」した話など)。
 あとは、本ではありませんが、次のニュース記事を読んでおくとよいでしょう。

モルドバ3銀行から10億ドル消失、受け手特定できず 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

モルドバの銀行から10億ドル(日本円だと1100億円以上ですか・・・)が消失したという、とんでもないニュース。

英語ですがこちらも。2015年の反政府運動の記事です。

BBC News - Moldova anger grows over banking scandal

私が2015年12月にモルドバへ行った時も、国会前にテント張って抗議運動やってましたね。近づきませんでしたが・・・。

こちらは、2016年に行われた大統領選を受けての記事。親ロシアの大統領が勝ちました。

欧州に取られた旧ソ連国をロシアに取り戻せ!-JBpress

言語

  • ニューエクスプレス ルーマニア語
前述のように、モルドバで話されているのはルーマニア語です。かつては「モルドバ語」と言われ、文字もキリル文字が使われていましたが、今は文字もルーマニア語と全く同じです。なのでルーマニア語ができればモルドバでも通じます。同じ言語ですから。


文化

  • 羽生 修二 (監修), 三宅 理一 (2009)『モルドヴァの世界遺産とその修復―ルーマニアの中世修道院美術と建築』西村書店
専門的な書籍ですが、遺産の保護や修復、教会美術に興味があれば読んでみるとよいでしょう。


 本当はモルドバ文学の本も紹介したかったのですが、日本語で読めるちょうどいいものが見つからなかったので断念。見つけ次第、掲載します。